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6月15日「The Field of Sound」講演会を開催しました



 2017年6月15日(木)15時より、本学701教室において講演会を開催しました。当日は、218名の方にご参加いただきました。

 マドレーヌ・ティエン氏は、"The Field of Sound"と題した講演において、長い歴史における人と音楽(音)との深い関わりとロシア・中国・カンボジアにおいて芸術家や音楽家たちが自由な表現を禁じられた時代についてお話しくださいました。そして、音楽(音)に耳を澄ませる行為は、他者に耳を傾けようとする文学ともつながるということを語ってくれました。当日、講演を聞いた学生たちの感想(一部抜粋)をお伝えします。

参加した学生の感想(一部抜粋)

 今日の講演で私が感じたことが大きくまとめて3つあります。
 一つ目は、"silence"についてです。英語においてその意味は音が完全に不在であることを示しますが、中国語においては、例えば、黙(話さない)・静(静穏さを示す)・寂(孤独さを表わす)という3つの表現があり、音の不在とともに音の存在にも意識が向けられているということです。英語は日本語に言い換えると多くの言い表し方があり、意味合いも変わりますが、さらに他の言語と比較するとそれ以上に面白い考え方や解釈が生まれるというのは、とても興味深いと思いました。
 二つ目は、ティエン氏の行きついた考えがとても心に残りました。自分の隠された内面を見るため、見つめ直すため、他者を「傾聴する」ことで「自分自身の理解につながる」ということです。「もし自分が彼女の立場だったら?」と変換して考えることも、新しい自分や隠れた自分を見つけるための手段だと思います。
 三つ目は、ティエン氏の話し方を見て、時折笑顔を見せたり、大きな身振りを取ってくれたりして、「聞きたい」と思わされたことです。今、留学や就職等の不安のある中、多くのことにぶつかっていますが、自分自身を知り、受け入れてくれる人々に出会うことができると良いなと思いました。(現代英語学科 大竹桜)

 今日の講演で印象に残っているのが、ドミートリィ・ショスタコーヴィッチの話です。スターリン政権下で自由に作曲が出来なくなった際も、自分の名を作品の音階に組み込み、自己主張を続けたという話を聞き、改めて音楽には、ポップミュージックやクラシックの分類を問わず、何らかの想いやメッセージが込められているのだなと思いました。また、文化大革命で群集の前で見せしめのような弾劾を受けてもなお恥を感じろと訴え続けた賀緑汀の精神を支え続けた音楽の力はすさまじいものがあると感じました。(現代英語学科 奥川実亜)

 音楽の新しい概念を学ぶことができた。まず、沈黙も音であるということ。今まで人間や機械が発する音だけを音として認識していた部分があったが、自然の音や沈黙の音も感じ、意識的に聴いていこうと感じた。長い歴史がある音楽だが、その誕生には時に残酷な歴史が背景にあり、抑圧された気持ちが音楽という形で表わされる。ティエン氏の話の中で特に印象に残ったのは、西洋と東洋の"silence"の認識の違いである。東洋には、静・寂・黙の3つの捉え方があり、東洋の豊かな感受性が美しいと感じた。ティエン氏は「世界の音に耳を澄ましているか」ということを書く前に考えると仰っていたが、その作家としての感受性にとても驚いた。私もただ普通に景色を見るだけではなく、五感を駆使して感受性豊かに生きていきたいと思った。(現代英語学科 宮島里奈)

 私たちがいる世界を「音の野原(the Field of Sound)」と表現するのが面白いと思いました。当たり前に思っている日常の中にも、いろいろな音が絶え間なく聞こえていて、そのように意識して聞いてみると、様々な音を感じることができて良いと思いました。また、ティエン氏の話の中に何度も「人間性("humannness")」という言葉が出てきましたが、その中でも、「他者の人間性を否定することは、その人自身を否定することになる」という言葉にとても共感しました。(現代英語学科 古田茉以)

 .... たまにはイヤホンを外して周りにあふれている音に耳を傾けることも大切だなと感じました。(現代英語学科 藤好優花)

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概要

 東南アジア・中国を背景に持つカナダの女性作家が、アジアの歴史とカナダの多文化状況を踏まえて、「音楽(music)・人権(human rights)・沈黙(silence)」をキーワードに語ります。
 グローバル化する世界の中で、文学や芸術は世界をどう捉え、何を語りうるか、私たちはそこから何を学びうるか、考えるきっかけを提供します。
テーマ ザ・フィールド・オブ・サウンド
The Field of Sound
講演者 マドレーヌ・ティエン(Madeleine Thien)氏 (カナダ女性作家)
1974年生まれ。華人系マレーシア出身の父と香港出身の母を持つカナダ生まれの作家。現在はカナダ・モントリオール在住。短編集Simple Recipes (2001)、長編小説Certainty (2006)、Dogs at the Perimeter (2012)、Do Not Say We Have Nothing (2016)等の作品があり、現代カナダ、日本軍占領下の北ボルネオ島、ポル・ポト政権下のカンボジア、文化大革命から天安門事件に至る中国等を舞台に、歴史を捉え直し、その歴史の中に織りなされる個々の物語を伝える。最新作Do Not Say We Have Nothingは、スコシアバンク・ギラー文学賞とカナダ総督文学賞を受賞し、ブッカー賞の最終候補作品として選出された。
開 催 主 催:名古屋外国語大学現代国際学部
共 催:名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター
日 時 2017年(平成29年)6月15日(木) 15:00~16:30
プログラム 15:00-15:15 作家・作品紹介(日本カナダ文学会会長・明治学院大学特命教授 佐藤アヤ子氏)
15:15-16:15 講演(マドレーヌ・ティエン氏/通訳付)
16:15-16:30 Q & A
会 場 名 称:701教室≪名古屋外国語大学7号館 地下1階 大講義室≫
所在地:〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57
会場へのアクセスについて
対 象 どなたでもご自由にご参加いただけます。
申込み方法 下記URLより、申込みのフォームに必要事項を入力、送信してください。
(当日参加も可能ですが、資料準備の都合がありますので、事前申込みをお願いいたします。)
https://req.qubo.jp/wlac/form/20170615
問合せ先 名古屋外国語大学現代国際学部事務室 担当:石月
Tel:0561-75-1725 Fax:0561-75-1729
メールアドレス scisoffice_ml@nufs.ac.jp