グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム > 図書館・附属機関 > ワールドリベラルアーツセンター > 2015年度イベント開催のご報告 > 11月2日「ピエール・ルメートル氏の講演および中村文則氏との公開対談」を開催しました

11月2日「ピエール・ルメートル氏の講演および中村文則氏との公開対談」を開催しました



 2015年11月2日(月)15時00分〜16時30分、ワールドリベラルアーツセンター主催、外大フランス語学科共催の公開講演会・対談イベントが行われました。基調講演者は、アンスステュ・フランセおよびアリアンス・フランセーズ愛知フランス協会が「読書の秋2015年」のためにフランスから招聘したフランス人作家ピエール・ルメートル氏で、特別ゲストが愛知県東海市出身で現在東京在住の芥川賞作家中村文則氏でした。

ピエール・ルメートル 氏

 ルメートル氏は、昨年発売された『その女アレックス』が80万部を突破する売れ行きで、日本のミステリ界の話題を独占している作家です。また2013年にフランスで初めて発表した純文学作品『天国でまた会おう』がその年のゴンクール賞を受賞し、日本でも邦訳が出版されたばかりというタイミングでの来日でした。一方、中村氏は最新作『教団X』がベストセラーになっており、また大江健三郎賞を受賞した『掏摸』とデビュー作の『銃』が仏訳されており、ルメートル氏にも仏訳でこの2作品を読んでいただいての公開対談ということになりました。
 講演会に先立ち、亀山郁夫学長がフランスから初来日されたルメートル氏への感謝と近作への賛辞を述べられました。また中村氏に対しては「彼はドストエフスキーの子供です」という印象的な紹介がなされ、ドストエフスキーを通じての師弟関係と短期間で世界的な人気を獲得した愛知県出身の若い作家への期待が伺われました。

中村文則 氏

 基調講演で、ルメートル氏はユーモアと真剣さの絶妙なバランスで、自らの文学に対する熱意を語りました。講演のタイトルは「小説とジャンル-純文学とミステリ」というものでした。ルメートル氏によれば小説は近代以降、カテゴリーとして典型例が存在しなくなってきており、そのサブジャンルとして存在したミステリも、現在ではかつてのような分類(謎解き物、ミステリ、ノワール等)が当てはまらなくなってきているということでした。中村氏の作品はミステリとノワールの混交であり、犯罪や謎が存在しなくともミステリが成り立つことを示し、その意味で典型的なモダンなミステリだということでした。

 この講演を受けて、中村氏が『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』『死のドレスを花婿に』『天国でまた会おう』を読み込んだ上で、ルメートル氏の創作上の秘訣について質問されました。世界中の人が熱中する小説を次々と発表し続けるこのフランス人作家は、印象的な最初と最後のシーンをまず考えること、脇役に至るまで全ての登場人物を魅力的にすることなど、創作の秘密を明かしてくれました。それを受けて、中村さんの方も、アメリカで「ジャパニーズ禅ノワール」と評された、短い描写でシーンを印象的に記述するテクニックなど、自らの創作の秘訣を話してくれました。

 二人の人気作家の会話は大学での1時間半の枠内では終わるはずもなく、第二部として、場所を移して本山のアリアンス・フランセーズで6時半から本格的な対談へと引き継がれました。こちらは「私の小説技法」と題され両者の小説技法の秘密を具体的に話すという興味深い内容でした。様々な職業を経験し、55歳でのデビューと遅咲きながら、フランスを始めとして世界中で多くの読者を獲得しているルメートル氏は、(『悲しみのイレーヌ』も発売直後ながら大変な売れ行きだそうです)「サン=テグジュペリの『星の王子様』の次に売れているフランス人作家」と日本で言われて驚いたという逸話も披露しました。
 この対談の内容は、『月刊文藝春秋』2016年新年特別号にも掲載され、多くの人に名外大でのイベントの内容が知られることになりました。テレビ番組の取材も入っており、外部から数多くの参加者が訪れ、大成功したイベントでした。

概要

開 催 主 催: 名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター
共 催: 名古屋外国語大学フランス語学科
期 日 2015年11月2日(月)15:00~16:30
会 場 名 称: 701教室≪名古屋外国語大学7号館 地下1階 大講義室≫
所在地: 〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57
会場へのアクセスについて(専用バス・シャトルバスの時刻表もご確認いただけます。)