自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>> 第7章第1節 (2)心身のケア等

学生生活への配慮

第1節 学部学生の学生生活への配慮

(2)心身のケア等

 この問題については、本学創設前の段階で既に中西学園が生活相談の重要性を早くから認識し、時代を先取りする形で、相談室の設置に踏み切り、ノウハウの蓄積に努めてきており、本学はそれを継承して今日に至っている。

 生活相談についての専門部署としては、学生相談室と保健室がある。

 前者は、「修学その他学生の個人的問題に関する相談、助言」や「学生の精神衛生上必要なカウンセリング及び指導」を行ない、保健室は主として身体面の問題対応・指導に当たっている。

 学生相談室は、隣接する姉妹校である名古屋学芸大学・愛知女子短期大学との三大学共通の「学生相談室運営規程」に準拠して、共同運営が行なわれている。その運営の基本的事項は、各大学を代表する教員と事務職員とから成る相談室運営委員会において審議・決定される。議長は各大学の学生部長の輪番による。相談室長は三大学の教員の中から選ばれる。相談室の重要事項については、それぞれの大学の学生厚生委員会・教授会及び評議会の議も経なければならない。

 保健室は各大学独自に設けられており、それぞれの学生部に所属しているが、保健室小委員会を設け、情報交換を行なっている。
1)学生相談
 学生相談室は学生相談室が担当する。外部の専門家3名が交代で月〜金曜日に1乃至2名が常時待機しており(主任者1名は月、火、水、金の4日)、毎日必ず面談が出来る体制になっている。さらに、カウンセラーの好意で自宅への電話・インターネットの相談にも応じている。さらにまた、今年度より精神科医1名が月2回、10時から13時まで勤務している。

 学生はプライバシーの保護がカウンセリングの大前提であることは知りつつも、なおそれが外部の専門家によって行なわれていることに、一層強い安心感を持っているようである。

 相談内容とその年度別推移は次の通りである。

相談内容年度別推移
年度 学業 進路・将来 対人関係 精神・保健 家庭・家族 学生生活 セクハラ・DV 人生・生き方 心理・検査 その他 実数 延べ人数 全学生数
10 3 5 2 14 2     11 7   44 215 2,588
11 10 1 8 15 5 1   11 45 3 99 467 2,780
12 12 4 7 21 1     14 12 1 72 469 2,990
13 1 8 8 28 5 7 2 3 40   102 506 3,218
14 4 10 14 18 4 6 1 5 6   68 364 3,449

 全学生数に対する相談者数等は次の通りである。

相談者数等年度別推移
年度 実数 延べ人数 全学生数(T) 実数/T
   (%)
延べ人数/T
   (%)
一人当たり
相談回数(回)
10 44 215 2,588 1.7 8.3 4.9
11 99 467 2,780 3.6 16.8 4.7
12 72 469 2,990 2.4 15.7 6.5
13 102 506 3,218 3.2 15.7 5.4
14 68 364 3,449 2.0 10.1 5.4

 相談内容は精神・保健と心理・検査の二つで約50%を占めているが、それ以外多岐にわたっている。一人当たりの相談回数は5.4回である。1日当たりの相談件数は、相談室全体で5名前後である。

 これらの状況については、セメスター毎に相談室運営委員会への報告・討議を経て、教授会に報告される。当然の事ながら個人のプライバシーは堅く守られている。

 なお、学生とカウンセラーの個別面談の他に、学生相互あるいはこれにカウンセラーが加わって自由に話し合うための空間が相談室の隣にサロンとして設けられており、毎日面接者数の二倍近くの利用がある。

 数は多くないものの、学生との絡みで教職員・保護者の利用もある。学年の初めには「学生相談の栞」を配布して、PRを行なっている。

 なお、セクハラ防止については、規程の整備、防止委員会の設置、PR用パンフレットの作成と教職員・学生全員への配布、VTRによる教職員へのPRを行なっている。
2)健康・衛生・安全
 これらについては、保健室が担当している。専任のスタッフは1名で学生部に所属しており、特別の場合は学生部の他のスタッフに応援を求める。

 まず、定期健康診断については、毎年4月に行なっている。受検率・有所見者・有所見率等の推移は次の通りである。

受検率年度別推移
年度 受検率(%)
10 89
11 91
12 89
13 89
14 88

有所見者・有所見率年度別推移
年度 受検者(人) 有所見者(人) 有所見率(%)
10 2,352 年度 1.1
11 2,507 40 1.6
12 2,609 45 1.7
13 2,783 53 1.9
14 3,040 31 1.0

 受検しなかった学生については外部の公的医療機関で検査を受け、診断書を提出するよう指導している。

 検査の結果、所見の有る者は再検査を受けさせ、問題の有る場合は各自病院で精密検査を受け、その結果を保健室に提出することになっている。検査項目は胸部X線・尿検査・内科検診・視力検査・身体計測である。

 次に応急措置・健康相談については、保健室の利用率が、近年上昇傾向にあるのが特徴的である。

保健室利用状況年度別推移
年度 全学生数(人) 利用者数(人) 利用率(%)
10 2,588 618 24
11 2,780 667 24
12 2,990 826 28
13 3,218 1,047 32
14 3,449 1,232 35

 利用率の上昇は、ポスターその他により、保健室の気軽な利用を呼びかけた結果であると思われる。緊急の治療を必要とする場合は、外部の顧問医師に依頼する。

 相談内容(主訴)別に見ると、身体に関するものが一番多く、次に友人・学業の関係となっている。分類が難しいくらい、非常にさまざまな相談が寄せられているが悩み事・相談事が心因性の体調不調次いで肉体的な不調に発展する恐れもあるので、極力、耳を傾けている。月別の相談件数を平成14年度について見ると、5月が非常に多いが、これは下宿生活の不便さや不規則な生活についての悩みが、主なものである。

 禁煙問題については、すでに給排気機能を備えた喫煙コーナーを設けた分煙を進め、それなりの効果を挙げているが、さらに、健康管理意識を高めるべく、「タバコの害を考えて見よう」というキャンペーンを展開している。また、体育系クラブを対象とした救急救命訓練、そのときどきの季節に応じた諸注意(梅雨時の食中毒、夏の熱中症の症状と対策の掲示)その他外国語大学の特殊事情に鑑み違法性薬物についての注意などを行っている。

 以上総じて、学生の心身の健康保持・増進及び安全・衛生への配慮は、ほぼ適切・有効であると考えている。

 しかし、学生相談関係では、進路・将来及び学業については精神・心理面以外の技術面で突っ込んだアドバイスや、学生から相談を受けた教員のとるべき指導方法についての教員へのアドバイスが出来る体制が必要であろうし、保健室関係では、スタッフが1名だけである点と保健室のスペース及びレイアウトに問題があると考えている。

 精神面と身体面は深く関連があるだけに、相談室と保健室は一本化することが望ましいようにも考えられるので、関連三大学合同の保健センター的な部門を作り、ここでその両方を扱うこととし、併せて保健室のスタッフ数及びスペースの問題の解決を図ることも検討している。

 なお、相談室、保健室いずれも、専門的な立場からの学生に向き合っているのであって、これがそれぞれ相談室運営委員会・学生厚生委員会・教授会などに概括的に事後報告されるのが、一般的なやり方になっているが、もっと具体的に、プライバシーに十分配慮しつつも、具体的に教員一般及びクラス・アドバイザーと相談室・保健室の間の太いパイプ作りが必要であると考えている。

 さらにまた、これらの業務はとかく、個々の学生を対象にした事後的・対症療法的なものになりがちであり、またこれが一般的であるが、徐々にではあっても、全体の学生を対象とした事前的・予防的な方向に比重を移していかなければならないと考えている。