自己点検・評価

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学生生活への配慮

第1節 学部学生の学生生活への配慮

(3)課外活動

 本学では課外活動とは、「学生会執行部その他学生会所属機関の日常活動並びに文化系・体育系サークルの活動など」を指すものとしており、学長の承認を受けた「名古屋外国語大学課外活動に関する規程」「名古屋外国語大学課外活動細則」に即して、学生部が指導・援助に当たり、重要事項については、専任教員で構成される学生厚生委員会の承認を受けるものとしている。基本的には学内の安寧・秩序の維持という最低限の制約を設けてはあるものの、自由な活動が可能となるよう、学生の自主性に任せ、必要に応じ助を行なうという段階に留めている。なお、「名古屋外国語大学学生表彰規程」に基づき課外活動において顕著な成績をおさめたものを表彰するなど、動機づけを行なっている。

 最近の学生は、自主性その他の自己管理能力の欠けた者が多いばかりか、他人や社会との関りをおそれれたり、面倒臭がったりする対人関係処理能力を欠くケースが極めて多いといわれる。しかも、昨今の社会は、ますます複雑・多様化が進みつつあり、それへの適応を次第に難しいものにしている。

 しかし、このような能力は、専門的な知識・技術・技能以前の、個人として社会を生き抜くために必要とされる基礎的な能力であり、これを欠くとき専門的な能力を有効に生かすことが出来ない。時代は、さらにこれに加えて、自分の所属する集団ひいては社会に積極的に貢献する意欲を持った若い人達を強く求めている。

 こうした能力と意欲を身につけるのに、大きな役割を果たすものは、正課外の活動であると考えられる。なぜならば、正課教育の場とは異なって、ここでは、学部・学科・学年、場合によっては、大学の壁を越え、価値観の大きく異なった学生達との接触・交歓・共同作業を自主的に行うことが可能となり、社会生活の疑似体験的な側面を持つといっても過言ではないからである。

 以上のような理由から、本学では課外活動の指導には特に力をいれている。

 課外活動で先ず挙げられるのは、クラブ活動と大学祭である。これらは当然学生の自主性に基づいて行なわれ、その中心は自治組織である学生会とその執行部であり、その下にクラブ代表者会議と大学祭実行委員会がある。日常の指導・監督は学生部が行い、特に定める重要事項は、各学科を代表する教員によって組織された学生厚生委員会に報告、承認を得る事になっている。これらの費用はすべて学生会費によって賄われるが、その徴収と支出は大学の責任においてなされている。

1)クラブ活動
クラブへの加入状況は次の通り。
年度 全学生数(人) 利用者数(人) 利用率(%)
10 2,588 618 24
11 2,780 667 24
12 2,990 826 28
13 3,218 1,047 32
14 3,449 1,232 35

 新規クラブの設立については、設立の趣旨、費用面から判断して、抑制することもある。クラブの顧問は教員であるが、学生の自主性を重んじて、内部的な細かな運営には立ち入らない。体育系・文化系を問わず特別な技術・技能の指導が必要な場合は、クラブからの申請によって、外部の専門家に委嘱している。

 部長その他の役割分担については、全面的に学生の自主性に任せている。具体的な活動状況については、日時・場所・内容など事前に計画書が学生部に提出されているが、問題があると考えられるものを除いては、特にこれに干渉しない。

 各クラブへの予算配分は学生部が原案を作成、学生のクラブ代表者会議において決定している。

 物品の購入など外部業者との折衝・支払いは学生の手で行われており、年に一度、学生部が証憑の提出を求めて、会計の監査を行なっている。

 予算・決算については、全学の学生厚生委員会に報告し、承認を受けることになっている。
2)大学祭
大学祭の企画・実施は隣接の姉妹校である、名古屋学芸大学・愛知女子短期大学との合同祭の形をとっており、各大学からそれぞれ、実行委員と委員長が選出され、三者の協議で進められる。

本学から選出されている委員の数は次の通りである。
年 度 12 13 14 15
大学祭実行委員(人) 36 72 89 75

 これらの委員は、全員が自ら希望して参加したものである。

 企画・実施、そのための役割分担・組織化などについては、学生の自主的な討議に基づいて行なわれる。大学側は予算総額の決定とその他の重要事項(例えば火気、保健・衛生、地域との関係など)のみに関与し、その他は助言を求められた場合だけ、これに応じている。

 学生側からは、大学に対し事前の説明会を行い、その内容と進め方について説明しまた、事後の反省会には大学側を招き、感想を聞くことを通例としている。

 大学祭当日の行事やイベントは、クラブやゼミ単位のものが少なくない。ゴミの分別回収・処理に関しては、学生達の工夫においては厳密に行っている。
3)学生会
 学生会は本学の全学生で組織し、大学との相互信頼のもとに、会員の自主性の育成と学生生活の向上・充実を図ることを目的としている。学生会には、学生総会、執行委員会、クラブ代表者会議、及び選挙管理委員会が置かれている。

 制度は整っているものの、全般的に活動状況は低調である。特に、学生会の役員の選任段階(立候補、選挙管理委員会)においては、学生の関心が薄く、積極的な関与の姿勢が弱く、学生部からの多くの手助けが必要となっている。 

 以上、課外活動は、クラブ活動や大学祭の現状を見る限り、かなり活発に行われているといえる。すなわち、他人との触れ合いを楽しむ、あるいは、社会性を身につける訓練となるこれら活動の場への学生の積極的参加が進んでおり、そこでの人間的成長が期待できる状況にあると考えられる。とりわけ、大学祭については、本学の場合、学生達は意欲的に取り組んでおり、世間で言われるような大学祭の低調傾向とは趣を異にしている。その意味で、大学として今まで行なってきた指導・支援が有効であったと考えている。

 今後の問題点としては、クラブ活動については、予算配分から決算まで全責任をもって自分達だけでやることが出来るように指導していくことが必要であるし、大学祭については、さまざまな思考・行動様式の外国人留学生を、企画の段階から取り込んでいくような、包容力と行動力を身につけさせ、さらには行事やイベントの内容などを、娯楽的なものから1年間のクラブ活動やゼミナールの成果を発表する場となるようなレベルの高いものに発展させたいと願っている。これは学生達の意識の問題であるだけに、時間をかけて話し合っていきたい。

 クラブ活動や大学祭がある意味ではアミューズメント性のある具体的で特定の目標を持った活動の場であるのに対し、学生会においては、これらより高い次元で、全ての学生達が有意義な学生生活を送れるようインフラ作りを進めるという場であって、学生の受け止め方にはかなりの落差があるように感じられる。後者では、明確な共同体意識と強い義務感や暖かい善意が、無償の汗とともに要求されることを、彼らは無意識のうちにリアルに感じとっているのではないかと思われる。

 学生生活環境 (例えば、禁煙・マイカー通学・スクールバス等に関する問題など) を整えるためには大学としても、個々の学生ではなく、組織化された学生達の集団的自主性に期待するところが大きい。したがって、自分の為だけではなく集団の為に、集団を纏め上げ、その組織目標を達成する意欲と能力を持った学生を育成することが今後の課題である。具体的には、クラブや大学祭のリーダーを中心にして、リーダーズ・キャンプなどを通じてそうした人材を養成していく必要があると考えている。

 こうした問題については特に、大学側の一方的な思いこみにならないよう、常に学生サイドの現状認識・意見・提案などに耳を傾けるための仕組み作りが、その前提になると思われる。