自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>> 第7章第1節 (1)修学・進路等に関する支援

学生生活への配慮

目標:学生の学習に関わるサービスを充実し、その支援環境を整備するとともに、学生生活に対する援助、助言、指導の体制の充実を図る。

目標を達成するための措置
  1. 多様な学生のニーズを尊重した学習・進学・就職支援のサービスを充実する。
  2. 学生に対する心身両面のケアを行う体制を強化する。
  3. 課外活動の実践を支援する、優れた環境整備を行う。
  4. セクシャルハラスメントに対する予防策を充実させる。

第1節 学部学生の学生生活への配慮

 学生が修学という知的活動を進めるに当たっては、個々の学生の、最低限の経済的基盤や身体的・精神的な健全さと安定性、さらに自主性・主体性といった人間的な最低限の成熟度などが、要求される。

 従って、これらを可能ならしめる確固たる制度を設けることは、修学のための環境条件を整えることの重要な部分を占めることになる。さらにまた、大学での修学を終え、学生が就職・進学・留学その他,真に希望する進路に向けて新しいスタートをきり得るよう諸制度を設けることは、学生のニーズの極めて大きい部分に応えるものであるとともに、教育の成果を広く世に示す大前提であると考える。

 また、この制度の運用に当たっては、特定の事務部門だけではなく、教育現場の第一線にある教員の協力と両者の緊密な連携、すなわち「大学ぐるみ」の取組が欠かせないと認識している。さらにまた、この取組を効果的ならしめるためには、事務部門スタッフの専門的資質の向上と、教員による学生への多面的・多角的な接触・交流の促進が重要であると考えている。もちろん、この環境条件の整備を、単に大学側による「面倒見のよい大学」作りの試みに終わらせないためには、学生の自主的で積極的な参加が必要であり、そうした教育と動機づけを旨としている。

(1)修学・進路等に関する支援

1)学生への経済的支援
1. 本学独自の奨学金等
 奨学金等の支給を経済的支援目的のものと学業の奨励目的のものに分けた場合、本学独自のものは、後者に重点を置いた、海外留学・海外短期研修の補助金支給が中心となっている。外国語大学として、留学・海外研修は最も重要な施策の一つであり、また、学生及びその保護者が共に大きな期待を寄せるところであるからである。

 海外留学・海外短期研修のものについては、第14章 国際交流の項で述べる。

 留学・海外研修以外には、「中西学園奨学金」と「特別な災害による被災学生に対する学費免除」がある。前者は家計急変の場合に貸与するものである。実績は次の通りである。

  平成10年度 1名 555千円
  平成11年度 1名 560千円

後者の実績は次の通りである。

  平成12年度 10名 合計1000千円

 大学院生については、給付奨学金、貸与奨学金、利息補給奨学金(教育ローンの利息補給)があり、留学生については、外国人留学生給付奨学金がある。これらについては別に述べる。
2. 日本育英会の奨学金
平成14年度の採用者数は次の通りである。
平成14年度 日本育英会採用者数           (人)
  1次募集 2次募集 緊急・応急
  1年次 2年次以上 1年次 2年次以上 1年次 2年次 3年次 4年次  
第一種 47 4 募集なし 同左 2 2     55
きぼう21 110 7 2 3 1   1   124
157 11 2 3 3 2 1   179

平成14年度(3月末現在)における奨学生数は次の通りである。
平成14年度 日本育英会奨学金種別・学部別・年次別奨学生数   (人)
  種別 外国語学部 国際経営学部 小計
1年次 第一種 47 9 56 179
きぼう21 92 31 123
2年次 第一種 54 11 65 200
きぼう21 93 42 135
3年次 第一種 51 13 64 173
きぼう21 80 29 109
4年次 第一種 46 17 63 181
きぼう21 94 24 118
第一種 198 50 248 733
きぼう21 359 126 485
合  計 509 163 733 733

平成11年度以降の奨学生数の推移は次の通りである。
奨学生数年度別推移                    (人)
  平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
第一種 205 231 257 248
きぼう21 219 303 391 485
424 534 648 733
学生数 2778 2990 3212 3449
在学学生数に対する比率 15.26% 17.86% 20.17% 21.25%
3. 地方公共団体及び民間団体の奨学金
平成11年度からの採用者数推移は次の通りである。
地方公共団体・財団の奨学生数年度別推移 (人)
  平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
地方公共団体 16 13 16 13
財 団 2 5 7 4
18 18 23 17

 奨学金に関する情報提供は、奨学金説明会は勿論、その他オリエンテーション、ガイダンスなどの際をとらえての説明、掲示・電光掲示板等による案内など、可能な限りの機会を利用している。また、家計急変の場合はすぐ学生部に来るよう、呼びかけも常に行なっている。

 以上の選考は、日本育英会その他の団体の採用基準及び学内規程に則り、学部学生については、各学科を代表する教員から成る学生厚生委員会の議を経て、大学院生については、大学院奨学金選考委員会の議を経て、留学生関係については、国際交流委員会の議を経て、それぞれ学長が決定することになっている。

 また、奨学金を希望する学生は、給付・貸与の問題を別とすれば、ほぼ全員が何らかの形でこれを受けていると思われ、概ね経済的支援の措置は有効・適切であると判断している。
4. その他
 奨学金の他の支援として、下宿の斡旋とアルバイトの紹介がある。下宿については業者と呼応して、豊富で低廉な物件を斡旋している。アルバイトについては、学習重視の観点から斡旋はせず、単に紹介するに留めている。この件に関し学生からの特に強い要望はない。

 今後の問題としては、細部は別として次の点の改善が検討課題となっている。すなわち日本育英会の奨学生の中には、限られた数とは言え、学業不振者、休退学者もいるため、これをなくするような工夫が必要であると考えている。学生部における奨学金事務の負担はかなり大きく、選考時及び爾後の個々の学生の状況把握には限度があり、他方では一年生に関しては、選考時段階ではクラス・アドバイザーも学生の状況を把握しきれていないこともあって、容易ではないが、重要な管理点であると認識している。中西学園奨学金については、その「使い勝手」について、学生のニーズと手続きとの関係の検討が必要である(家計急変の時期と申請の時期のズレなど)。
2)就職指導等
 就職等についての目標は、前述のように学生が希望する進路に向けて、満足してスタート出来ることであるが、これを量的に表現するならば、就職率を高めることであり、端的には就職率70%以上を確保するよう、学生の就労意欲を醸成することであると考えている(就職率とは、就職した学生数を卒業生から進学者、留年者を除いた者で除した割合をいう)。

 そのためには、就職活動そのものの支援のみならず、低年次生からの進路選択支援が極めて重要であり、入学した学生が卒業するまでの間に「職業と人生」の観点から、人生の意義を考え、自分や家族の糧を得るために生きていく方策を発見できるようにさせ、学生生活を終えるとき、大学で学んだことがどのように社会で役に立つのか関連付けられるようにさせなければならず、
  1. 人生計画の重要性を認識(なぜ働くか)
  2. 勤労意欲の醸成(働くことの意義)
  3. 職業理解(社会のしくみ)
  4. 適職の選択(職業紹介、就職活動支援)
というステップを踏まえての指導・支援が必要であると考える。
1. 就職指導の組織
 現在、就職課には3名の専任キャリアアドバイザーを配置している。2003年度の卒業見込生773名に対してアドバイザー1人あたり学生250名余であり、個別の学生を把握する十分な体制となっている。またアドバイザーのうち2名は民間企業の経験者、他の1名も学内の他の部署を経験した職員を選任していることにより、学生への実務的な就職アドバイスを可能にしている。

 このように就職に関して統括的な組織活動を行う担当部署として、従来の就職相談・指導に加えて、資格支援、就職支援さらに教職員との融合関係を推進する「キャリアサポートセンター」に名称変更する(2004年度より)。名実共に学生の入学から卒業後の進路までを総合的に一元化した組織体として運営することがねらいである。
2. 進路指導
 語学を専攻している学生にとって、卒業後はできるだけ自分の語学力を生かした国際関係の職業に就きたいと大多数の者は考える。しかし、その職業がどのような企業や団体でどのように発揮できるのかは、ほとんどの学生は知識を持たない。ましてやその自分の職業を自分の人生設計とどのように結びつけて考えればよいのか、ほとんど考える機会を持たない。

 就職課ではそのような認識の上で、毎年5月、1年次生を対象に進路ガイダンス(1コマ)を開催するところから始めている。そこでは大学院進学、在学留学、就職などその年次ごとの段階に応じた全般的な説明を行い、卒業後の進路を選択するための方向性を示唆し、学生生活の期間中に自分は何をすべきかのヒントを与えている。また、低年次から参加できる各種の資格支援講座7個、就職支援講座8個(2003年度現在)を設けている。さらに2年次を対象に総合教養講座「キャリアプラン講座(職業とキャリアプラン)」(半年2単位)では、「人はなぜ働くのか」から始めて企業社会のとの接点になるよう具体的な内容で開講している。

 就職支援サービスの目標を達成するためには、低年次からの人生計画を考えさせ、卒業後の進路を選択する支援を行うことが肝要である。そこで、多様な学生の個性に応じて、就職支援の組織体制をとり、また各種のキャリア支援講座を開設している。

 具体的には、社会で通用する資格取得の支援講座、就職を意識した職業選択のための就職支援講座、学生個々人の適性と自己を知るための適性検査などがある。それらの体制と内容は次のとおりである。

就職支援の組織体制
支援機能 支 援 内 容
カウンセリング 学生の進路に関する専任のスタッフ1名
リクルート支援 求人情報の収集、説明会面接調整実施、資料室の管理、
企業の就職担当者との対応など専任スタッフ2名
ガイダンス 外部の専門家、企業の人事担当者などを講師に招き、多数の講座を実施、キャリア構築、キャリア開発の仕方からレジュメの書き方、面接の受け方
エクステンション 資格支援、就職支援講座
Web情報管理 就職ホームページのコンテンツ企画および管理

就職支援講座の開設内容
正課 キャリアプランII (2単位、2年次以降履修可能)
将来の人生設計と職業を結びつけて、大学卒業後の進路を考えるための総合的な講座。
勉学の目的、目標を自覚し、卒業までに自分の進路、人生設計を描く。大学で学んだことが社会で生かせるよう、実社会(特にビジネス社会)の状況を理解する必要がある。この講座を通して、夢を実現させるためのプロセスを現実的に考える。
エクステンション 各種支援講座
資格支援講座 就職支援講座
通関士
国内旅行業務取扱主任者
一般旅行業務取扱主任者
簿記検定2級
簿記検定3級
初級システムアドミニストレータ
MOUS検定(ワード、エクセル)
日本漢字能力検定
公務員試験対策講座
エアライン就職対策講座
外資系企業試験対策講座
マスコミ就職対策講座
就職筆記試験対策講座
就職マナー講座
面接スキルアップ講座
3. 就職活動支援
 3年次生からはさらに具体的な進路指導を開始し、特に就職希望者には徹底した個別相談、指導を基本としている。就職以外の進路(大学院、専門学校、海外留学、家業、家庭など)を選択した学生に対しても、安易にフリーターを選択しないよう、進路の確認を教員のクラスアドバイザーと連携して卒業までの間はフォローを続けて、最終的な進路先の把握をしている。なお、個人面談記録は、3年次の全学生個人別に所定の様式で「進路登録票」(求職票)に登録させ、就職課スタッフとの面談の都度その状況内容を記載しており、他のスタッフはいつでもどの学生でも相談指導状況が確認できるシステム化している。

 学生への就職ガイダンスは3年次の5月から開始し、それ以降翌年3月までは毎月実施し、自己分析、業界研究、企業研究、面接での自己PR指導などを繰り返している。その間に個別相談、指導が入ることにより、就職課の窓口では上記3名のアドバイザーが学生対応に追われる毎日である。4年次に入ると、全体ガイダンスから個別就職指導に切り替える。内定獲得のための企業紹介を加え、就職活動に悩みをもつ学生のカウンセリングも積極的に直接本人に電話したり、ゼミ担当やクラス担任教員との連携によって学生とのコンタクトをしたりで、全員を把握指導することに努力している。

 近年、就職活動が早期化することには頭を悩ませている。3年次の夏季休暇開始と同時に履歴書の書き方を指導するなど現実的に対応しつつも、学生の職業に対する理解認識のステップを確実に踏んだ上で職業意識の醸成に努めている。結局は、低年次からの職業知識と勤労意欲を持たせるための地道なガイドが必要であると考えている。単に就職のためのテクニック指導をして、企業採用の早期化に迎合することは避けている。前記のキャリアプラン講座はその趣旨にそって、働くことの意義を自覚させるためである。

 学生の求人先企業等の情報検索および卒業生の就職先企業などは、データベースとしてサーバーに蓄積しており、学内のどこのパソコンからでも利用可能にしている。就職課内においても12台のパソコンを設置し、学生がその場で指導を受けながら自由に情報を得られる体制になっている。

 上記の指導の結果から卒業見込み学生の就職内定率および就職希望率は、文部科学省各年度就職状況調査の全国平均を上回る結果を得ている(下表参照)。このことは低年次からの就職相談と指導が有効かつ適切であることを物語っている。

本学および全国の就職希望率・内定率
年 度 本 学 全 国
就職希望率 就職内定率 就職希望率 就職内定率
2002(平成14)年度 73.1% 94.7% 65.5% 92.8%
2001(平成13)年度 74.9% 94.6% 64.5% 92.1%
2000(平成12)年度 74.8% 94.8% 63.4% 91.9%
1999(平成11)年度 73.1% 92.8% 62.7% 91.1%
1998(平成10)年度 74.0% 96.3% 68.3% 92.0%

 今後の課題としては、次の点が挙げられる。
  • 就職率は全国平均よりかなり高いとはいうものの、大学が愛知県に位置しているという立地上の有利さによる面もあり(愛知県内諸大学の就職率自体が高い)、地域情勢の分析により、目標値の見直しも必要であろう。
  • キャリア開発と教育との連携を強めるための、担当部署と教員の緊密な連絡と協力を図ること。
  • インターンシップ関係業務(教務課担当)をキャリアサポートセンターへ取り入れること。
  • 正課外教育特にクラブ活動を通しての、人間的基礎能力涵養をキャリアーサポートに貢献しうるよう誘導すること(たとえばリーダーシップ訓練)
  • 進学(大学院、専門学校)を含めた幅広い進路ガイダンスの充実
  • 就職決定時点での満足度調査の試行
  • 卒業後の就業状況追跡調査の改善
  • 進路・就職カウンセリングの研究・試行
  • 大学としての就職先「産業分野・業界・企業規模等セグメント戦略」の設定