自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>> 第6章第2節 (6)研究体制を支援する組織(国際コミュニケーション研究所)の確立

大学・学部・大学院の研究活動と研究体制の整備

第2節 研究体制の整備

(6)研究体制を支援する組織(国際コミュニケーション研究所)の確立

 上述のような研究活動をより高度化し充実させていくには、それを掌る事務組織の体制が重要となる。本学では一般的な事務局体制のほか、派遣研究員制度、国際研究集会派遣制度、客員研究員短期受入制度、特別研究員受入制度及び科学研究費補助金申請等を担当、支援する組織として国際コミュニケーション研究所がその役割を担っている。 具体的には、本学からの派遣に関しては、実施に伴う日本私学振興・共済事業団への補助金申請及び教員経費支出の事務的処理、研究成果の出版物等への取り纏め、或いは受入に関しては、研究員の生活環境面での支援、研究発表等における母国語と日本語との翻訳・通訳業務、各種補助金申請業務など、派遣・受入ともにその対象者の研究活動が充実するよう副次的な業務を担当し、研究者が研究活動に専念できるよう配慮している。

 また、同研究所は教育と関連する共同研究についても担当している。本学では教養教育の特色あるプログラムとして「基礎ゼミ」(第3章第1節教育研究の内容等(1)教育課程参照)が開講されているが、この基礎ゼミは教養教育の教員が中心となって共同研究し、教育メソッドを確立したもので、毎年その実施成果として教案集を発刊しているが、その発刊に至るまでの業務の全てを担当している。

 基礎ゼミの教案には、新聞、雑誌等多くの一般的な発刊物が引用されるため、教案集自体の発行には著作権の問題等、多くの難題が発生するが、研究所がそれらの業務を一括して処理している。他方、その教育方法は担当者全員の協議により確立、実施されるため、綿密な会議などが開催されるが、同研究所がその全体のコーディネイトを行なうと同時に、教育方法として議論・研究された内容を科学研究費補助金申請まで関連付けて担当しておリ、機能的で且つ合理的な組織体として研究を支援するという役割を果たしている。

 同研究所は、現在、所長1名(兼任)、兼任研究員及び専任事務職員1名で構成されているが、これらの業務をこなすには、絶対的配置人数が少なく、今後、研究所帰属の教員、専任の研究員及び事務職員を増員する必要があると考えている。

 従来、教育と研究は車の両輪といわれながら、ともすれば両者を別々に考える傾向があった。そのため、これまでは教員の自主性に任され教育実践には直接結びつかない研究も見受けられた。もちろん今後とも学問研究の自由は保障されるべきである。しかし、研究重視のため教育活動が疎かになることは許されない。本学は教育重点の大学として発展して行きたいと考えている。この点を考慮するならば、最も望ましいのは、教育と研究を区別するのではなく、教育活動そのものを実践的な研究活動と位置付けて、教育活動の中で研究テーマを見つけて絶えずフイードバックしながら理論的に解明する方向で研究活動を活性化することである。その一例が国際コミュニケーション研究所で取り上げられている基礎ゼミに関する共同研究である。また、本学ではPower-up Tutorialなど新しい教育方法を採用している。これを理論的に研究し、その成果を検証する必要がある。その他、教育活動に関する設計型・俯瞰型の研究も求められている。今後はこうした教育活動に密着した基礎的研究や言語、人文、社会の各分野における基礎的、萌芽的研究を奨励することとしたい。

 本学では各教員の研究や共同研究を評価するシステムがまだ確立されていない。ただ、国際経営学部では教員の研究状況を発表し評価する試みが行なわれている。これを全学的な制度に発展させ、各教員の研究成果を点検・評価し、教育内容・方法等に活用できるものは採用するというシステムを構築すべきである。また、優れた研究成果に対しては報奨制度も確立すべきである。

 本学では、研究費や研究室等基礎的な研究条件のほか、共同研究助成、海外派遣、海外からの研究者受入れ、国際研究集会派遣、研究成果を公表するための助成など研究活動を支援するための独自の制度が整備されている。これらの制度をさらに充実させ各教員が積極的に活用するよう奨励したい。

 しかし、本学には研究活動を支える独自の制度があるとはいえ、やはり予算の制約があり、各教員の要求を満たせない場合がある。これを補うため外部資金の積極的な導入を図りたい。その一つが科学研究費補助金である。従来、科研費は教員の自主的判断に任せていたが、平成 14年度から科研費の効果的な申請方法等についての説明会を開催するなど各教員を督励した結果、平成15年度はかなりの成果を得た。これからも科研費その他外部資金に関する情報提供のサービス等を行う部署を設けて、応募件数を増やすよう努力をしたい。