自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>>第3章第2節(2)履修科目の区分

教育研究の内容・方法と条件整備

第2節 国際経営学部

(2)履修科目の区分

1)ゼミナール科目について
 専門ゼミナールについては、本学科の特長の一つであり、また最大でも16名程度にクラス人数を抑えていることによって、学生・教員ともども評価が高いものであるが、しかし問題点はある。この科目は必修科目であり、2年間同一教員によって一貫指導が行われるべきものとなっており、途中での所属ゼミ変更は認められていない。

 また学生のコース所属もこのゼミ選択によって決まる。そして学生は2年次II期に自らの意志で指導教員を選択することとなっている。必修科目である以上、学生は必ずゼミ担当の専任教員の誰かを選択しなければならない。上述のように少人数指導を徹底するために、クラス規模は年度によって多少の変動はあるが、最大16名程度としている。従ってある教員を希望する学生が16名を超えた場合、教員が学生を選択することになる。即ち、希望するゼミに入れない学生が出てくることになる。本学科ではこうした学生のために第2回ゼミ志望、第3回ゼミ志望の機会を与えているが、極端な場合、自らが関心を持つコースには必ずしも属せるとは限らないことも起こりうる。そのため、第1回のゼミ志望で選んだゼミに入れなかった学生は、その後の学修の動機付けに困難を来すことがしばしばある。取り分け、第3回まで待たねばならなかった学生の多くが実際にはその後の学修に困難を来していることは事実である。学生の専攻希望に応じた学修指導を基本としているにも関わらず、大学4年間の学修の総仕上げともいうべき専門ゼミが少数とはいえ学生の何人かにはそうなっていないという問題が残っているのである。
2)専門科目について
 英語関連科目のCEは、それが英語のさまざまな分野をコミュニケーション能力の向上という観点から統合的に教授しているということで、学生が英語になじみ、さらにより高度な英語力を総合的に身につける可能性を有しているという利点を有している。とりわけ、今年度から導入したPower-up Tutorialは、3名という少人数クラスでネイティブ教員の指導を受けることができるという意味で、学生が英語に親しみ、より高度な学習をめざす動機付けになるという点で、大きな意義を有しているということができよう。

 しかしCEに問題がないわけではない。一つには段階制の問題がある。CEは6つの分野が統合された科目であり、I〜IVはそれぞれ1・2年次の学期に対応して開設され、次第に高度な内容を学習するよう構成されており、かつ段階制をとっている。この段階制は、前段階を履修しなければ次の段階へは進めないということで、学生に対して学習上の緊張感を求めるという意味で積極的な意味もあるのだが、しかし他方では再履修者にとっては大きな問題をはらんでいる。たとえば1年次I期の科目であるCEIを学生が履修できなかった場合、この学生は再履修対象学生として、2年次1期で再度CEIを履修しなければならない。言い換えると、1年次II期にはCEを履修するチャンスを持たないのである。従ってほぼ半年以上この学生は科目としての英語に触れるチャンスを失うことになる。英語能力の向上という面からすれば、これはこの学生にとっては大きな損失であろうし、また学習意欲を持続させるという面でも困難を伴うものである。

 3・4年次の科目であるACE・BEにも問題点がある。ACE・BEは学生が自らの関心に応じてそのうちの科目を選べるという意味で、多様な学生の関心に対応できる設定になっている。3・4年次になると学生は自らの専攻を決めているから、その専攻にとって必要な英語の内容を学ぶことができるのである。

 しかし、問題点もあって、一つはこれらの科目が完全な選択科目だということである。本学科が英語コミュニケーション能力の育成を教育理念に基づく目標としてあげているにもかかわらず、場合によっては、学生は3・4年次一切英語を学習しないということがありうる。1999年度(平成11年度)に大幅なカリキュラム改正が行われそれまでは必修であったACE・BEが完全な選択科目に変更された結果、こうした問題が生じている。

 第2に、多彩な内容をここでは学べるということになっているが、必ずしてもそれら相互の関係や、全体としての体系性が考慮されているとは言い難い。内容の決定はあくまでも英語教員各自の自主的な選択に任されており、その意味で学部・学科の教育理念にかなったものであるかどうか検討がなされていないのである。
3)地域研究科目について
 これはアメリカ・ヨーロッパ・アジアと一応は世界の主要な地域を網羅し、それぞれについて学生が学ぶチャンスを提供しているということができよう。現行のカリキュラムでは6科目が設置されており、うち2科目を学生は選択せねばならないということになっているが、世界の状況を理解する上でこの程度で十分だろうかという問題がある。また、地域の設定についても、アメリカ・ヨーロッパ・アジアという区分設定で十分か、さらにアフリカは含まれていないが、これも妥当かといった問題が残る。
4)経営・会計・国際関係にかかわる科目群について
 これらの科目群はその体系性が考慮され設定されており、学生は4年次卒業までにそれぞれのコースにおいて必要とされる内容を学習できるようになっている。また上述したごとく、最近の学生の関心動向に対応する形での新しい科目も設置されてきている点は評価されるべきだと思われる。しかし、いくつかの問題点もある。

 一つは専門選択必修科目として「経営学総論」「簿記原理」「国際経営論」「経済原論」の4科目が設置されているが(うち3科目を履修する必要がある)、経営・経済・簿記会計に焦点を置いた編成になっており、国際関係科目がそこに含まれていない。従って「国際経営」「国際会計」「国際関係」という3コース制とどう整合するのかという問題が残る。
5)全学開放科目について
 全学開放科目制度は、取り分け英語以外の語学を学習する可能性を国際経営学部学生にも与えたという点で評価されるべきものである。しかし、これはあくまでも学生の自主的な選択に任されている科目であり、かつ12単位という履修単位数制限内でしか履修できない。その意味で、国際的な視野を広げ、国際社会で活躍できる人材を育成するという本学部の理念に十分対応できているかどうか疑問である。

 他方では、クラス編成がこの制度によって困難を来す場合があることも指摘しておかねばならない。本学部、外国語学部、いずれの学部においても、開放科目として設定されている科目の一部に学生が殺到し、多人数になりすぎてクラス分割を緊急に行わねばならないという事態が毎年生じている。他学部学生に対しても専門科目を開放する意義は十分にあるとしても、極端な多人数クラスが増えることは決して好ましいことではない。現在でも多人数クラスが予想される科目については複数開講するなどの対策を講じているが、今後ともこの問題の検討は必要であると思われる。