自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>> 第3章第1節 (7)正課外授業

教育研究の内容・方法と条件整備

第1節 外国語学部

(7)正課外授業

1)学部共通
1. ランゲージ・ラウンジ
 開学時より、ネイティブの外国人教員や留学生と一緒に英会話をしながらランチのテーブルを囲むEnglish Tableを実施してきた。 平成13年度、規模を拡大し生まれ変わった English Loungeは、学生達が積極的に参加して寛いだ雰囲気の中で個人的な事柄や日常の出来事に関する英会話を楽しんでいる。この正課外における語学力向上の試みは、授業との相乗効果をもたらし、学生の英会話能力の向上や異文化理解に大いに役立っている。

 一方、国際交流協定によって提携大学数が増加し、留学制度の充実や国際交流会館(インターナショナルハウス)の宿泊設備の完備によって日本語や日本の文化を学ぼうとする外国の留学生が増加の一途をたどっており、このEnglish Loungeを通じて外国の留学生と接する機会をつくり日本の文化を発信するには絶好の機会となっている。

 平成15年度2期からは、上記のEnglish Loungeに加えて、フランス語、中国語、日本語の各ラウンジも開催され、外国人教員や留学生と交流する機会が一層増えた。実施回数は、語学によって異なり、現在は英語が週3から4回、フランス語が3回、中国語が2回、日本語が1回である。 これらは日本人学生が語学力を高める機会となる一方、留学生の方からも、日本文化の知識を深め、日本人学生と知り合いになる良い機会として好評を得ている。
2. スピーチコンテスト
 英米語学科・国際経営学部共催のスピーチコンテストは学科を問わず参加できる全学の行事となっている。発足時は、レシテーションコンテストを行なっていたが、人前で自分の意見を発表することは人生において有用であり、また、スピーキング力を身につけるためスピーチコンテストに変更した。学年ごとに自分のテーマに基づいて、スピーチ内容を組み立て、ネイティブの教員から指導を受け特訓の成果を上げている。聴衆の学生たちも大いに刺激を受けている。このコンテストは自由参加であるが、4年生は就職活動などで多忙であることや出校する回数が少ないためか参加者が少ない。入賞者にはトロフィーと賞品が与えられることを伝え、入賞者は学外のスピーチコンテストにも参加するように奨励する。今後更に学外のスピーチコンテストで活躍できるような態勢を整える。

 また、以下の「フランス語学科」「中国語学科」の項目に述べる、フランス語学科主催の暗誦大会、中国語学科主催の弁論大会も、他学科学生も参加可能の行事である。
3. 英語関係資格講座
 外国語大学として、取り分け英語力活用能力の育成は学科を問わず、共通の教育目標としており、その観点から学生には英語関係の資格取得を一つの目標として取り組むよう指導し、効果を上げており、具体的には次のような資格講座を開講している。
  • 英検準1級準備「基礎力養成講座」は、英検2級合格者又はTOEIC550〜650程度の力のある学 生を対象にし、授業初日にレベル分けテストを実施している。現在、年2回実施し、全18講座で実践重視の授業を行なっている。
  • 英検準1級一次試験対策講座は、英検2級合格者又はTOEIC650以上レベルのある学生を対象にし、夏期集中や秋期講座として全18講座で英検準1級合格への戦略を効果的に指導している。教務課の資格支援室の企画運営で8月25日から9月10日まで夏期集中として18回の講座を開く予定であったが、開講人数に満たなかった経緯があり、この資格講座をもっと受講するように奨励する。検定試験によって自分の習熟度を知り、自己啓発させる。
  • TOEICレベルアップ講座(600点攻略コース)は、英検2級合格者、又はTOEIC470点以上取得し、TOEICレベルアップ講座(730点攻略コース)は、英検準1級合格者、又はTOEIC600点以上取得していなければ受講できない。
  • ボランティア通訳検定A級講座は、通訳検定B級合格者、英検準1級合格者、又は同等レベルの学生を対象にし、A級に合格すれば、所定の研修を経てボランティア通訳として日本青少年育成協会に登録することができる。
  • ボランティア通訳検定B級講座は、英検2級合格者を対象にし、B級に合格すればアシスタントボランティア通訳として日本青少年育成協会に登録することができる。
 なお、平成16年度からは上記に加え、全学生を対象とした TOEFL TOEIC 講座を開設する予定であり、特にTOEFL TOEIC 講座については学生から特別な受講料を徴収することなく実施し、他の講座もテキスト代等の実費程度bナ受講できるよう配慮している。
4. 講演会
 国内外で活躍しておられる著名な識者に、本学で講演会を行っていただく制度があり、すでに多くの方にご講演をしていただいた。これらの講演は、通常のカリキュラムではカバーできない内容であり、多くの学生達にとって極めて有益な課外授業となった。

 平成15年度には、総合教養では島田丈裕氏(日米関係の現状と展望)に、英米語学科では鈴木孝夫氏(日本人にとっての英語)に、フランス語学科では佐原秋生氏(料理とフランス文化)、村瀬良臣氏(職業としての通訳)に、日本語学科では柴田祐子氏(日系人から見た日本文化)に、それぞれ講演して頂いた。今後も、毎年こうした講演会を開催する予定である。
 以下は各学科等で実施している正課外授業の状況である。
2)総合教養
 総合教養において、正課外教育の充実に向けて取り組んでいるものとして、情報処理試験対策ゼミ、教員採用試験対策講座、体育的な学生活動への援助がある。
1. 情報処理試験対策ゼミ
 まず、情報処理試験対策ゼミは「情報IIB」を受講した者との条件をつけているため、応募者は1名(平成14年度)と少なかったが、半年間でシスアド初級を受験するレベルになった。今後、受講者数を増やし、少なくとも5名程度の数でゼミ形式の演習が行えるよう努力したい。
2. 教員採用試験対策講座
 教員採用試験対策講座として平成14年度の春休み中に26コマの講座を開き、16名の参加者があった。講座終了時のアンケートによると、「とても満足」1名、「満足」11名で、理解度、講義の進度とも好評であった。本年度初めての企画であり、学生には良い刺激となっているので、参加者を増やし、今後も続けたい。
3. 体育的な学生活動への援助
 体育的な学生活動への援助としては、体育系クラブ・サークル活動に対する各種アドバイスを行ったり、体育館やグランド等の開放を行っている。その結果、運動施設等の稼動率は高く、学生は活発に活動している。今後、正課外体育・スポーツに関する学生のニーズが増大することが予想されるので、施設・用具の保守点検システムを含め、どのように対処するか議論を深めたい。
3)英米語学科
 英米語学科では、社会の広範な分野で活躍できるよう、語学力を鍛えるとともに国際的視野を身につけることを目指した正課外教育を充実させている。
1. 1年生対象夏期英語集中セミナー
 7月末から8月初め(1期終了後)と9月半ば(2期開始前)に4泊5日の日程で年二回に分けて行われる。定員を約20名とし、外国人教員の指導のもと、英語の運用能力向上をめざす。英語によるゲームやグループ毎に創作する英語劇の他、スポーツ・バーベキュー等のイベントがある。外国人の教員と寝食を共にし、授業時間中には味わえない雰囲気の中で実践的な英語を身につけると同時に、学生と教員の親睦を深めている。

 今後、大学より宿泊費や保険金に充当する補助金が出されていることを学生に周知させるとともに、セミナーに参加した学生の体験談を伝え、夏期休暇を有意義に過ごせるよう積極的な参加を奨励する。
2. 同時通訳法合宿
 夏期休暇中と冬期休暇中に3泊4日の日程で年2回、「同時通訳法」を履修している学生を中心に、逐次通訳のテキスト及び国際関係に関するビデオ・テープを利用して通訳練習を行なっている。練習の合間に親睦会や花火大会なども行なっている。この合宿は非常に好評で、定員は約30名であるが、年々参加希望者が増加している。実施回数を重ねて教育内容が充実しており、来年度より集中講義として単位認定する予定である。
3. ALC Net Academy及び図書館設置のリスニング教材を利用した自学自習
 コンピューターを利用した個人適応型のALC Net AcademyをAVセンターに設置している。アルクネットアカデミーは21世紀のネットワーク技術を応用し、あらゆるレベルに対応した画期的な英語学習システムである。学習者の英語力をコンピューターで即座に診断し、自分の英語力に応じて音声再生スピードを5段階から選択する機能がある。短時間で効率的にTOEICテストの問題形式に馴染むのに最適で、自分の学習進度状況を、必要な時いつでもパソコン上で確認できる。

 アルクネットアカデミーは情報教育支援室が管理運営し、検定英語用のテープは図書館の職員が貸し出ししているが、今後連絡を密にして学生に利用場所や利用方法を伝え、これらを大いに活用させることを目指す。中央図書館には実用英語検定・TOEFL・TOEIC用テープが備えてあり、英米語学科の副手室ではリスニング教材(CNN English Express / English Journal)を自学自習のために貸し出ししている。
4)フランス語学科
1. 暗誦大会
 フランス詩の暗誦大会は、平成3年より毎年開催されている。平成9年からは、上級学年と下級学年の部の2部構成となった。フランス詩に触れることでフランス語の知識やフランス文学の教養を身につけ、フランス人教員の個別指導による発音矯正ができ、暗誦を通じて自己表現する能力を養い、しかも、聴衆の前に立つ勇気を与えるという総合的な教育の場となっている。 平成11年から大会出場を、留学生選抜試験の受験資格の必須条件、平成14年からは更に認定留学の出願資格の必須条件としたこともあり、平成3年の21名から平成14年の62名へと、出場者数は確実に増えている。暗誦大会としてはレベルが高く、充実した内容であるが、更なるレベルアップを図るため、平成13年から上級学年に限って、一種の弁論大会の形式も導入している。しかし、積極性の不足と、フランス語による作文力が必ずしも十分とは言えない学生が多いせいか、この形式で応募する学生は極めて少ない。

 今後、より充実した大会となるように、学生の作文力の一層の向上と主体性の育成に力を入れる必要がある。「フランス語表現法」の講義科目の創設(平成15年)は、そうした問題に対処するひとつの方策となることが期待される。また、少なくとも公費留学をした学生には、弁論形式での出場を促すよう学科内で検討を進めている。
2. 留学生との交流
 日本語学科と留学生別科の創設以来、フランス語圏からの留学生が徐々に増え、それを機会にフランス語学科の学生と交流する機会が企画されてきた。当初は、学科内の学生用のコーナーで、平成15年秋からは「フレンチラウンジ」として正式に学内指定のラウンジや教室で、留学生達と在学生達がフランス語で交流する会が催されている。

 当初より、留学を考えている学生達が特に熱心に参加してきたが、授業で習ったフランス語の実践の場として、また身近でできる国際交流の場として、その有益性は計り知れない。より多くの学生達が参加するよう、今後もクラスアドバイザー通じて教室で呼びかけていきたい。
3. フランス語同好会
 開学当初に学科の学生達が自主的に結成したこのサークルは、フランス語劇の上演、サークルの新聞の発行、フランス映画鑑賞会、フランス料理コンクールなど、年度によって活動内容は異なるが、現在に至るまで地道に活動を続けている。特にフランス料理コンクールの開催は、フランス人教員や留学生も審査員として招いて、フランス語で料理の紹介をするなど、できる限りフランス語を使って行われ、学内でも極めてユニークな活動行事となっている。

 これらの活動は、フランス語やフランス文化の学習に役立つばかりでなく、学科の雰囲気作りにも貢献し、また、共同作業を通じて人間教育にも貢献しうるものである。こうしたサークルの自主的な活動をより活発にするには、学科の教員達のサポートが不可欠であろう。これまでも同好会の行事に参加するなどといった形で教員もその活動に関わってきたが、今後、顧問のフランス人教員を中心に、それ以外のサポートのあり方も学科会議で検討するつもりである。
5)中国語学科
1. 中国語研究会
 サークル活動に「中国語研究会」があり、発音指導、留学生との交流、中国語学科主催の弁論大会の練習などを行なっている。また中国人の講師を招いて、チャイナドレスの紹介、胡弓の演奏会、太極拳の実習などの催しも企画している。この活動に中国語学科教員が参加し活動をリードしたり、中国人の講師を招く労をとるなど全面的に学科全体で応援している。
2. 弁論大会
 後の項目に述べる発音練習のパートナー制度、本学科主催の弁論大会も正課外教育に数えうる。「中国語研究会」はサークル団体であり、「弁論大会」も参加希望者のみ参加するため、年によって参加する人数にばらつきがみられる。

 しかしこういった活動は、本人の意思によって行なうところに効果が期待できるものであり強制は意味がない。「中国語研究会」「弁論大会」については、折に触れて教員の方から新入生に宣伝していくことも肝要である。
6)日本語学科
学外研修
 日本国内のみならず、国外でも活躍できる人材養成のため、現在までに、学外研修(国外)として日本語教育実習を6回行ってきた。目的は、異文化を経験させながら、日本語教員養成のために必要な教壇実習を行うためである。研修先と期間は次のとおりである。
  • サイパン マリアナス高校 2001.9.3〜2001.9.16
  • 韓国 南ソウル大学    2002.8.9〜2002.8.25
  •  〃 全州大学     2002.7.8〜2002.8.11
  •  〃 南ソウル大学   2003.2.9〜2003.2.23
  •  〃 南ソウル大学   2003.8.10〜2003.8.24
  •  〃 釜山外国語大学  2003.8.31〜2003.9.21
 研修先によって、受講生の目的や動機にばらつきが見られ、実習生の目的と異なる局面が見られることもあった。しかし、総じてこの研修に参加した学生は、異文化の中で日本語を教えるという立場にたつことのむずかしさと興味深さを身にしみて感じて帰国している。特に、釜山外国語大学は本学の提携校ということもあって、正規のコースに実習生をいれていただき、現地の教員の指導を受けながら、3週間の教育実習を行うことができた。相手校の協力でホームステイを実施でき、お盆という韓国の一大行事を経験できる実習である。今後の課題はこれら学生の実習体験を、「日本語教育実習」としてどのように単位認定をするかということである。