自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>> 第1章第2節 (1)外国語学部

理念・目的・教育目標

第2節 学部及び大学院の教育目標

(1)外国語学部

 本学外国語学部は、「英米語学科」「フランス語学科」「中国語学科」及び「日本語学科」の4学科で構成され、それぞれの言語圏に基底する文化、社会システム、政治、経済、国際関係など社会現象全般について、理論と実践にわたって教授・研究し、世界を舞台に活躍するために高度な言語力と国際的センスを身につけることを目的とする。

 従って本学外国語学部の教育目的とするところは、単に「英語」「フランス語」「中国語」及び「日本語」の技術的な習得、実際の運用能力を身に付けるだけで果たせるものではなく、それぞれの言語圏における思想、宗教、習慣等といった生活様式も含めて理解する広い文化的視野と鋭い国際感覚を養うことにある。

 そのためには、何よりもまず言語そのものについて深い理解が必要となるであろう。

 昨今、国際化が進展する中で、語学コミュニケーション能力の必要性が強く提唱されているが、現状、その主眼は口頭におけるコミュニケーションを意味しており、どちらかと言うと「話せる」「聞ける」に傾斜している。口頭コミュニケーション能力を養成することは勿論重要であることに変わりないが、だからと言って読解能力を疎かにしては全く意味がない。むしろ口頭のコミュニケーション能力を育成するためには読解能力が前提となると言い換えてもよい。読解能力と口頭コミュニケーション能力をうまく組み合わせ、「読む」「書く」「聞く」「話す」の語学能力全体をバランスよく修得することが真のコミュニケーション能力であり、その教育課程を実践することが本学外国語学部共通の教育目標と言える。また、この総合的言語力の基礎に立ち、文学・歴史・政治・経済など幅広い知識の修得と思考方法の涵養こそが本学部に課せられた課題と考えている。

 本学部は、この教育目的に沿った教育課程を通じて、その専攻する言語圏の文化・社会について深く理解し、国際貢献、国際協力を推進する原動力となる知識人を育成すると同時に、外国語を学ぶこと或いは日本語を世界の言語の一つとして捉えることは、我々自身が日本語・日本文化及び日本社会を新鮮且つ客観的な視点から見直し、世界に向けて発信する機会を与え、我々の思考を柔軟で幅広い豊かなものとするであろうことを実証したいと考えている。すなわち、本学部は世界の諸国民と共存共栄するために必要なアイデンティティ持った自立できる日本人を育成することを共通の目的としている。

1)英米語学科
 英語は国際教養語として、また本学部の他学科においても専攻語学に匹敵する英語活用能力の修得をさせることを目標としていることに鑑みても、大学の基幹をなすものであり、その中核となる英米語学科の在り方は極めて重要と考えている。

 英米語学科は、国際語である英語を通して世界を舞台に活躍できる「真の国際人」の育成を目指すものである。

 そのためには単に英語が読め、書け、話せるといったレベルに留まらず、英語を使って相手と議論ができ、説得もできるという卓越したコミュニケーション能力を持ち、従来のように「受信」のための英語圏への深い理解のみならず、「発信」に必要な教養豊かな国際感覚、魅力ある人間性も兼ね備えることが肝要であると考えられる。現在、このような目標は必ずしも十分に達成しているとは言い難いが、この理念の実現を目指して努力が重ねられている。

 従来の英語教育が、どちらかと言えば「受信」に重点が置かれていたことに顧みて、大きく「発信」型の教育と併せて魅力ある人間性を備えた人材の育成も目指していることは時代の要請に十分適合していると考えられる。

 英米語学科ではその教育目標を達成するため、基礎から実践的な内容へと、段階的学習で英語力を高める教育課程を構築する。その具体的なカリキュラムは、英語運用能力と英米語圏の文化に関する知識をトータルに習得できるように編成されている。

 基軸となる専攻語学のうち、〈会話・作文〉の授業はネイティブ・スピーカーの教員が担当し、〈講読・文法〉の授業は日本人教員が担当することで、学習内容に応じた効率的な指導を実現する。また、本学科の教員のうち半数以上が英語のネイティブ・スピーカーであることも特色の一つと言えるであろう。

2)フランス語学科
 単一通貨ユーロの導入によって新たな一大経済圏が成立し、長く世界の外交用語として、その地位を保ってきたフランス語に、新たな役割が課せられる時代となった。このEUの経済統合に伴い、フランス語はフランス一国の言葉としてよりも、ヨーロッパの共通語としての側面が更に重視されるようになってきたと言えよう。

 本学科は、こうした現実にいち早く着目し、「世界の中のフランス語」という独自の視点を取り入れた専門教育を展開し、フランス国内だけでなく世界各国の事情についてフランス語で理解する国際性豊かな学習プログラムを教育特色とする。

 ヨーロッパの中心言語であり、明晰な言語といわれるフランス語は、英語に比べ発音、文法もずっと明快で分かりやすく、政治・経済分野においてよりグロ−バル化が進む中、今後さらに重要性を増していくことが予想される。

 フランス語の使用国は、フランス本国やヨーロッパ以外にも、カナダ、アフリカ、東南アジアやオセアニアにまで広がっており、この言語は極めて国際性の高い言葉といえる。

 本学科では、生きたフランス語とフランス語圏の文化全般にわたる知識を学び、グローバルに活躍できるコミュニケーション力を身に付ける。そのため日本人教員とフランス人教員によるチームティーチングやグループでの討論、インターネットを活用した時事問題の学習など、より専門的で実社会に即した高度なフランス語を学び、論理的思考力を重視した読解力の強化にも重点がおかれ、文化を受入れるだけでなく、世界に向けて発信できる創造性豊かな人材養成を目的とする。

3)中国語学科
 中国、台湾、香港、シンガポ−ルなど華人国家もしくは、華人が活躍する地域は21世紀に入ってますますその国力を強める一方、特に中国の経済成長は著しく、世界の政治や経済などに与える影響力は拡大している。

 こうしたなか、日中の相互信頼を高める努力が図られてきたが、残念ながらそのために必要とされるコミュニケーション能力を持った人材はまだ少なく、中国語を本格的に使える人材へのニーズは、一層高まっている。

 古くから日本に影響を与えてきた一方、日本とは全く異なる面も持つ中国について、その社会や文化を正しく理解しながら高度な中国語を使いこなせるとともに、日中間やアジア全体の関係発展に大きく寄与する人材を育成することが本学科の目指すところである。

 とりわけ、本学科に入学してくる学生は、在学中に実用的な中国語の能力を習得し、卒業後語学力を活かし中国ビジネス等の現場で活躍することを希望するものが大半を占める。従って中国語の実用能力を用いて社会に貢献できる人材を養成することを目標とし、中国語の運用能力の向上、現代中国社会、中国文化の特質を理解するための講義・演習を主体にしたカリキュラム編成に特色をもつ。

 本学科は高度な中国語運用能力と現代中国への深い理解を備えた、日中間やアジアとの関係を機軸に国際舞台で発展に活躍できる人材の育成を目指すものである。

4)日本語学科
 日本語学科は、ますますグローバル化が進む将来に向けて、日本語を通して日本国内だけでなく世界に貢献できる人材、或いは日本語への深い認識と高度な英語力をもとに国際舞台で活躍できる人材を育成することを目的とする。

 この目的に沿って、国際的な視野に立った日本語の習得を実践するのが本学科の基本理念と考える。日本語を世界の言語の一つとして客観的に捉え、日本語、日本語教育及び日本語運用を日本文化との関連において教授・研究し、それに対する学生の知識と理解を深めることを目指すものである。

 一方、わが国の国際化が進展するにつれて、日本語運用能力の低下が指摘され、あらためて日本の若者に的確な日本語能力を習得させる必要性が指摘されているところである。

 従って様々な側面から日本語を体系的に研究、その本質を把握し、こうして得た知識を効果的に実践できるよう「読む」「書く」「聞く」「話す」を徹底訓練しつつ、あらゆる分野で必要とされる、適切で美しい「日本語運用能力」を培うことも重要な目的の一つである。

 また、本学科は、他大学の同種学科と比較して、特に英語教育にウエイトを置いている点に特徴がある。ネイティブ・スピーカーが担当する少人数の英会話教育などにより、専門学科に匹敵する英語コミュニケーション能力の養成を重視している。英語力は日本語を教授するために、そして国際社会に発信するために不可欠な能力であることはもちろん、日本語を客観的に認識するためにも必要であり、英語と日本語を比較対照しながら学ぶ独自の教育手法によって、双方を正しく効率的に学習していく。

 本学科の卒業生は、将来、日本語を適切に使用できる国際人としてビジネスの世界で活躍できるはずであり、また外国人に対する国際感覚豊かな日本語教師として、世界に対して日本語と日本文化を正確に、かつ、有効に伝えることができる人材になるはずである。