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まなざしの奇跡――写真史と女性史の交差点で



まなざしの奇跡――写真史と女性史の交差点で

世界教養学科
 孔碧玥

「I’m so happy you are here. I’m so happy I’m here too.(あなたがここにいてよかった。私もここにいて、本当によかった。)」
山沢栄子をはじめとする日本女性写真家の生涯と活動を追い続けて5年目、博士論文審査会での発表はこの一文で結びました。10歳の誕生日プレゼントは両親からのデジカメで、小さい頃から写真を撮ることが好きだった私が、博士課程で写真史の研究ができるとは思ってもいませんでした。
人間は、なぜカメラを手にして写真を撮ろうとするのでしょう。木村伊兵衛や土門拳のような男性写真家が歴史に名を残しているのに、なぜ女性写真家の名前はあまり伝わっていないのでしょう。そのような疑問や、女性写真家が十分に評価されてこなかったことへの違和感を抱えながら研究を続けるなかで、近代日本のさまざまな分野で先駆者として道を切り拓いた女性たちの歩みに出会いました。「あの時代に、こんな女性がいたのか!」という発見にワクワクした瞬間を重ねるうちに、その女性たちは21世紀を生きる私に、無限の勇気を与えてくれました。
こうして私の研究関心は写真史から近代女性史へと広がっていき、この4月に世界教養学科に着任しました。授業では、文学や美術、写真や映画など多様なメディアを通して、歴史の中で見過ごされてきた人々、特に女性たちの声に耳を傾けることの大切さを伝えています。そして、かつて私に勇気を与えてくれたあのワクワクが、今度は学生一人ひとりのこれからを照らす小さな灯火となることを願っています。

孔先生写真