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学長の言葉



心優しいグローバル教養人となれ
~NUFSの学生に求める4つの「ちから」~

亀山 郁夫

1 「出会い」の場をひらく、そして我慢強く

名古屋外国語大学(NUFS)に学ぶすべての学生たちに伝えます。
人は、何のために学ぶのか。

答え。人は、生きる糧を得るために学ぶ。

では、何のために生きるのか?

改めてそう問われたなら、私は答えたいと思います。
生きることの喜びを確認するために生きる、と。確認できたときに、人間の生命ははじめて価値をもつ、と。
では、どうすれば、喜びや幸せは手にできるのか。喜びや幸せを手にするには、みずからの力で、勇気をもって「出会い」の場を切り拓かなくてはなりません。その努力を惜しんでいては、けっして手に入らないのです。
何よりも勇気を持つこと、物怖じしないこと。自分には力があると信じること。それが大切です。「出会い」の基本は、「知る」こと、「学ぶこと」そのものにあります。

私のモットーは、単純です。
「石の上にも三年」といいますが、「石の上にも四年」、すでに立派な才能の証です。
Be patient. It takes time to accomplish something worthwhile.

2 4Cの「ちから」

今日、私たちの日本でしきりに叫ばれている言葉があります。
学生の皆さんにぜひそのことを知ってほしいと思います。

その言葉とは、「グローバル人材(Global Human Resource)」。

とくに、2011年三月の東日本大震災以降、私たちが暮らす日本の社会全体に閉塞感が強まるなか、内向きのまま、自分の殻に閉じこもることは許されなくなりました。殻のなかに閉じこもった自分を、だれかがそっと助けに来てくれるという幻想は抱けなくなったのです。
ですから、皆さんには、自分から積極的に殻を破り、殻を棄てて、外の世界に歩み出してほしいと思います。世界には、殻のなかでは経験できない、目も眩むような素晴らしい驚きや出会いが待ち受けています。

では、「グローバル人材」とは、どのような人材を言うのでしょうか。

グローバル社会とは、勝つことを至上の価値とみなす「競争」社会です。地球という巨大な広がりのなかにあって、勝者が一人しかいない、という恐ろしい状況がしばしば生じます。しかし、そこに住む人々の平和的な「共生」なくして、どのような勝利も持続的な幸福を約束してはくれません。私たちの多くが、この矛盾した状況のなかで、悩み、苦しみながら、生きているのです。

「グローバル人材」の育成のために求められているのは

まず、第一に、何よりも、すぐれた「教養力(culture)」であり、その上に培われる高い「専門性(specialty)」です。しかし、一個の社会人として生き抜いていくうえで求められる具体的な「ちから」とは、次の4つです。
  • コミュニケーション力(communication)
  • 創造性(creativity)
  • 協調精神(cooperation)
  • 貢献の意識(contribution)
これら4つの能力、資質、精神、そして意識が、グローバル人材として世界を舞台に広くはばたくために必要とされるものであり、それらは、同時に、NUFSに学ぶ学生たちが、大学での学びのなかで獲得することが期待される「ちから」でもあります。

3 真の教養人となるために――「批判的思考」と「共感力」を育てる

大学は、しばしば、「批判的思考(critical thinking)」を鍛える場であるとされています。

「批判的思考」とは

みずからの経験をとおして得た知識や情報を、客観的かつ冷静に吟味・選別し、分析し、総合することを通して、将来におけるみずからの行動の指針とすることをいいます。「批判的思考」は、今日のような厳しい競争社会にあって、しっかりと地に足をつけて戦いぬくために不可欠の道具です。まさに自立のための最大の武器といってもよい。
しかし、私たちは同時に、世界の人々との平和的な共生という理想にもしっかりと目を向けなくていけません。ともに幸せに生きる、ということが実現して、はじめて、個人として自立という価値も生まれるからです。
では、共生のために不可欠なちからとは、何でしょうか。それは、いうまでもなく、他者の喜びや苦しみに一体化できる「共感力」(sympathy)です。私は、相手の痛みに対する思いやり、人々のために役に立ちたいと真摯な思いに溢れる学生を育てたいと念じています。
「協調精神」(cooperation)も、「社会貢献の意識」(contribution)も、源は「共感力」にあります。

「共感力」は、文学や芸術にたいする想像力も育てます。

文学や芸術に深い造詣をもち、人々と素直に喜怒哀楽を分かちあい、同時に、世界のマクロな動きついて語ることのできる、心優しいグローバル教養人を育てたいと思います。

4 NUFSでの学び

NUFSは、世界に向かってみずからを発信できる人間を育てるため、ありとあらゆる努力を払います。

NUFSにおける「学び」のもっとも大事な点

一人ひとりの学生の能力や資質や志に、もっとも適合した教育を提供することです。すべての能力の礎にあるのは、私たちが日々使いつづけている日本語であり、日々の暮らしであり、風土そして文化です。外国語の学びと並行して、日本語の基本をしっかりと身につけてほしいと思います。
NUFSでは、学生ひとり一人のうちに隠された発信力をキャッチし、相手に確実にそれを伝えることのできる能力、真の意味でのコミュニケーション能力を鍛えることを大きな目標としています。

NUFS

140名のネイティブスピーカー教員(全教員数のじつに60%)を擁する日本でも有数のinternational な大学です。日本人学生と、世界各地から招かれた外国人の先生や留学生が集いあう光景は、まさにグローバルキャンパスの名にふさわしい。この恵まれた環境から、上に掲げた4つの「ちから」を、いや、学びうるすべてのものを吸収してください。

私たち日本人は、往々にして情緒に流され、何かしらしっかりとした目的意識を持って話すことを苦手としていますが、本学での学びが目標とするのは、実践的かつすぐれて対話的な性格を帯びた語学力です。豊かな教養に裏打ちされた専門的な知識をしっかり相手に届けることのできる語学力、Q&A型のコミュニケーションではなく、問題解決に向け、創造的な議論へと発展させられる語学力を育てたいと願っています。
とにもかくにも、失敗を恐れないこと。物怖じは大敵です、文字通り、「失敗は成功のもと」(Failure is a stepping-stone to success)なのです。

おわりに

NUFSのアイデンティティは、「言葉」です。

「言葉」とは

可能性という名の大地を耕す鋤にして、大地の実りそのもの。同時にまた、その実りを味わう喜びでもあります。若い農夫のような素朴な気持ちで、外国語や日本語を学び、世界の文化に親しみ、世界と日本社会の現実を知り、生きて、ここにあることの喜びを経験してください。
社会に出てからは、その蓄積をバネに、思いきりはばたいてください。皆さんの努力と活躍によって、NUFS の輝きと未来は、日々、更新されていくことでしょう。