グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム > News&Topics > 【学長メッセージ】学生のみなさんへ

【学長メッセージ】学生のみなさんへ



2020年8月4日
試練、内省、そして創造へ 
名古屋外国語大学
学長 亀山 郁夫


名古屋外国語大学の学生のみなさん、私たちは今、百年に一度の試練に向きあっています。この空前絶後ともいうべき危機のなかで、世界の多くの人びとが苦しみ喘いでいます。ジョンズ・ホプキンス大学の統計によれば、2020年8月1日の段階で、COVID-19罹患者は全世界で約1760万人、死者の数は約68万人に上っています。下のグラフが示すように、その勢いは留まるところを知りません。劇的に有効なワクチンが開発されない限り、この状況が改善されることはしばらくないと考えてよいでしょう。一時は楽観視された日本の状況も、この十日ほどの間に激変し、まったく予断を許さぬものとなりました。

(←The Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU))
さて、こうした状況下で、私たち、そして私たちの大学は、どのような道を探るべきなのでしょうか。むろん、一人ひとりが細心の注意を払って、自分は絶対に感染しない・させないという心構えをもつことが大切です。同時に大学もまた、キャンパス内にけっして罹患者を生まないという覚悟が求められます。事実、本学では、安全性を確保するための必要条件を満たす授業環境づくりをめぐって調査と議論を重ね、一つの結論に達しました。2期の授業を引き続きオンラインで実施するというものです。現下の状況に鑑み、大学が選択したこの方向性に対し、学生のみなさんのご理解をいただけるものと確信します。ただし、日々の学習に欠かせないWi-Fi等の通信環境がどうしても確保できない学生に対しては、今後も最大限の配慮をもって対応していく所存です。
さて、百年に一度の試練のときを生きる私たちにとって、今、何を学ぶことが大切か、ということについて、ひと言述べておきます。まず、現在のこの状況は、けっして永続するものではない、人類はいずれこの困難を克服するという認識を前提としなければなりません。ただし、コロナ後の社会が、コロナ前の社会と同じであるという保証はありません。人間や社会をめぐる価値観が根本から変わる可能性もあります。しかしここに一つ、けっして変わることのない「事実」があることも確かです。それは、みなさんの一人ひとりが、これから約70年から80年近い人生を生きるということ。外部から否応なく蟄居(ちっきょ)を強いられる状況というのは、逆に私たちの精神が豊かな熟成を遂げはじめるかけがえのない時間であるということです。私たちは、当面、巣ごもりの時間を過ごさなくてはなりません。しかしそのような状況こそ、人間の想像力が真の価値を発揮する時代なのです。たんに大学での学びだけではなく、みなさん一人ひとりが、さまざまな手段を用いて、世界の歴史や文化に関わる知識と教養をできるだけ拡張すべく努力してください。新一年生のためのオープンキャンパスでも申し上げたことですが、今は、全学の学生に向かってこう伝えたいと思います。よく知られた英語の表現、「多芸は無芸」をもじって、
“Jack of five trades and master of one.” 
「引き出しをできるだけたくさんもて。ただし、だれにも負けない一つを必ず確保せよ。」
ところで、みなさんは「ソサエティ5.0」という言葉をご存じでしょうか。日本における新たな社会システムの到来を予言する用語ですが、じつは、私たちの大学は、2019年4月に「WFP(“World Future Project”)」(https://www.nufs.ac.jp/outline/plan/wfp2023/)を掲げ、そこに次のような人材育成の目標を記したのでした。
「卓越した外国語運用能力を礎に共感力と批判的思考力に優れSociety5.0の時代を逞しく生きるための高い知性、行動力、社会貢献の意識を身につけた《世界人材》
そしてその重要な柱の一つとして、オンライン活用による教養教育の推進を目標に掲げたのでした。図らずも、その理想はこのコロナ禍をきっかけとして実現しました。しかしオンラインであれ、対面であれ、教員と学生が「クラスルーム」で向かいあう空間が、大学のすべてではありません。学生同士が互いに胸のうちを開き合い、友情を育む場と時間を提供することも、大学が果たすべき重要な使命の一つです。そこで九月から始まる2期には、通常の授業の時間割から離れて、みなさんが少なからず、創造的な気持ちで出会うことのできる期間を三週間、設定することにしました。それが、「Creative Week(創造的な週間)」です。私たちの大学は、この期間を対面による創造的な出会いの場と定義し、コロナ禍の時代に適合する新しい学びの機会として、自信をもって提供したい考えです。私たちの大学ではまた、この2期より、企業提携プログラムのひとつとして「AIとデータサイエンス」に関する全学向けの特別講座を開設することと致しました。これもまた、上に掲げたソサエティ5.0時代に逞しく生きる「世界人」の育成の一環として開講される授業です。
私たちはさらに、緑豊かな自然に囲まれた本学キャンパスの、さらなる改善にも鋭意取り組んでいます。オンキャンパスでの本格的な授業が実現した暁には、学生のみなさんにきっとご満足いただける新しい学習環境をご覧いただけるものと確信します。
どうか、みなさん、自信と夢を失うことなく、現在の「時」を正面から見つめ、誠実に向きあってください。就職面で不安を抱える4年生のみなさん、全国の大学生と気持ちの上で連帯しつつ、どうか最後まで戦いぬいてください。心からご健闘をお祈りしております。