自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>> 第4章第1節 (1)学生募集方法及び入学者選抜方法

学生の受け入れ

目標:アドミッションズ・ポリシーに基づき、適切な入学者選抜方法を策定し、効果的な広報活動により、優れた資質を持つ入学生を適正人員確保する。

目標を達成するための措置
  1. アドミッションズ・ポリシーを確立する。
  2. 入学後の教育との関連を十分踏まえた入学者選抜方法を策定する。
  3. 効果的な広報活動により、大学の理念、教育の方針ならびに特色、学生募集方針、入試関連情報等の周知を図る。
  4. 精確な入学試験の実施のため、教職員の連携を図る。
  5. 教育および大学運営上、適正な規模の入学生とする。
  6. 入学者選抜ならびに学生募集に係る広報について工夫・改善に努めるため、関係する組織の一層の充実を図る。

第1節 大学における学生の受け入れ

アドミッションズ・ポリシー

 本学は、外国語学部(英米語学科・フランス語学科・中国語学科・日本語学科)と国際経営学部(国際経営学科)を設置している。外国語学部においては専攻外国語の高度なコミュニケーション能力を獲得するとともに専攻言語そのものの研究ならびに専攻言語圏について人文・社会科学的な視点から理解を深めることを目的としている。なお、日本語学科においては、英語を副専攻語として相当重視している。国際経営学部においては英語のコミュニケーション能力を向上するとともに英語を駆使して国際経営・国際会計・国際関係について学ぶことを目的としている。従って、両学部とも言語を教育の基盤とし、言語をとおして国際社会の発展に貢献するために必要な能力を伸張することを共通の趣旨としているといえる。このため、本学のアドミッションズ・ポリシーは、学部毎ではなく大学共通のものとして定められている。
名古屋外国語大学の求める学生像
 本学は、上述した教育目的のもと、与えられた課題を解決するだけではなく、自ら課題を見出し、論理的に考え、精確に表現することができる学生の育成を目指している。従って、本学で学ぼうとする者は、先ず次のような資質を持っていることが望ましい。
  1. 言葉への強い好奇心。学習の道具としての言語と学習の対象としての言語という言語対する二重のスタンス。
  2. 国際社会への広い興味。多様な世界に対する文化・政治・経済・歴史・社会といったさまざまな側面からの開かれた興味。
  3. 人への暖かい関心。言うまでもないことであるが、人への思いやりを抜きにして言葉を学ぶことはできない。
  4. 行動力。自ら世界を歩いて、見て、触れて、人々のなかで自分自身を育てていこうとする意欲。
学生募集のための広報活動ならびに入学者選抜の方針
 学生募集に係る広報活動において最も重視しなければならにことは、志願者のひとりひとりが本学の教育方針と内容を十分理解し、その上で意欲をもって志願できるように、充分な情報を提供することである。入学者選抜においては、高等学校の教育課程を尊重し、英語の学力については比重をかけながら基本的な知識と思考力とが備わっていることを判定できる入試を工夫することが重要である。

(1)学生募集方法及び入学者選抜方法

1)学生募集方法
 学生募集の方法としては、本学および広告代理店の企画による大学説明会、受験雑誌・新聞等の広告、高校訪問を以下のとおり実施しているが、特に留意している点は、大学から受験生・高校等への一方通行的な情報提供ではなく、eメール・DM等を利用した双方向の情報交換に留意した広報を展開している。近年、特にWebの利用が急増している。広報の内容は、単にイメージアップを図るのではなく、受験生ならびに保護者に対して本学の教育の目標・方法・成果について理解を深めてもらうことに重点を置くよう努めている。

【大学企画】
1. 制作物 大学案内・入試ガイド・ホームページ・ポスター・入試問題集等大学案内・入試ガイド等は無料で配布している。
2. 説明会 受験生対象−学内会場
 本学の企画による受験生のためのオープンキャンパスは、6月−本学卒業生トークセッション、7月−体験授業、8月−入試情報説明会、9月−体験授業、10月−入試情報説明会、12月−入試情報説明会と入学試験シーズンを除きほぼ1ヶ月に1回開催している。

 近年受験生を対象としたオープンキャンパスの企画は、タレント等を起用し単に参加者増を狙うものが多くなってきている傾向がみうけられるが、本学においては、教育の中身を理解し将来への展望が持てるような企画とすることに重点を置いている。こうした企画への参加者は学習意欲・入学意欲の高い者が多く、重要な企画として位置付けている。

 本学卒業生トークセッションは、昨年度から実施している企画で、250名ほどの参加がある。航空会社・翻訳・メーカー・物流等で外国語を日常使用している卒業生ならびに本学留学生別科の留学生によるトークライブで、外国語を学ぶ意義や楽しさを高校生にアピールする企画である。トークライブのほか、キャンパス見学、個別相談コーナーを設け、卒業生はもとより外国人留学生、留学経験のある本学在学生、入試広報担当職員等との相互理解を深め、外国語学習の目標や就職とのつながりなどが具体的に理解できると、参加者には大変好評である。この企画は、高校生と直接面談することにより、本学にとって広報活動のみならずカリキュラムの検討、就職指導、留学指導等様々な改善に資している。

 体験授業は、各学科の特色ある授業を高校生に分かり易く体験できるよう工夫したもので、20数講座を3コマリピートする形式で行っている。7・9月あわせて例年900名ほどの参加がある。さらに在学生・留学・入試・就職等の個別懇談コーナーを設けている。

 入試情報説明会は、入試広報担当者による大学全体の説明および入試関係の説明会、各種個別相談コーナーのほか予備校講師による英語・国語の受験対策講座を開講している。年間約1000名の参加がある。

 それぞれのイベント終了後の参加者アンケートによれば、ほとんどの参加者が入学意欲をより高める機会となったとの結果を得ており、これらの学内イベントへの参加者の受験率は約50%、合格者に対する入学率は75%強である。今後の課題としては、受験率ならびに入学率を上げるようイベントの内容の充実をはかることがあげられる。
3. 説明会 高校教員対象
学内会場 5月−大学入試説明会 約120名参加(平成14年)
学外会場 6,7月−進学説明会  約120名参加(平成14年)
名古屋2回、岐阜、高山、津、四日市、静岡、浜松、松本

 高等学校の進路指導担当および3年生担任の教員を対象に、教育内容・入試結果・新しい改革への取組み等について説明会を実施している。学内外での企画の違いは、キャンパス視察の有無のみである。本学の説明に終始するものではなく、高校からの本学への様々な要望等も寄せられ、本学の教育を質的に向上させる上でも重要な説明会である。
【広告代理店企画】
1. 進学相談会  5〜12月
 名古屋をはじめ愛知、三重、岐阜、東京、大阪、中・四国、九州などで平成14年は計55回開催、相談件数約1000件(資料参加:40会場)
 受験生が直接本学広報担当者と面談できる進学相談会は、大学と受験生の相互理解のためには非常に重要な企画であり、相談者の受験率が高く、広報上最も重視しているものの一つである。
2. 高校内説明会
 愛知・岐阜・三重を中心に例年35校程度の依頼がある。
本学を指名して校内で本学の説明を聞きたいという高校生を集めて行われる説明会で、本学への関心の高い高校生に直接本学をアピールするとともに、高校との連携を一層密にする機会としても重要なものとして位置付けている。
3. 雑誌広告  受験雑誌を中心に毎年年間約60件掲載
 受験生が、大学の内容や入試についての情報を入手する最もメインとなる媒体であり、主に東海北陸版と西日本版を利用し、本学の特色を広報している。
4. 新聞広告  連合・単独をあわせて毎年年間約100件掲載
 新聞については、連合広告と単独突き出し広告により、主に学内説明会等イベントについて広報しているが、近年は全5段で大学内容説明に重点をおいた広告も年に1,2回掲載している。新聞は、受験雑誌に比べ保存性が薄く、広告効果として再検討の時期に来ていると思われる。
5. 高校訪問
 5月下旬から7月上旬、9月上旬から10月中旬、12月上旬に東海・北陸および中国・九州地区で平成14年度延1200校ほど実施
大学と高等学校との相互理解のための情報交換を主な目的としており、非常に有効な広報活動である。

 その他Webによる双方向広報の充実に近年配慮している。また、受験雑誌・新聞・eメール等の媒体を通しての資料請求数は例年13000件ほどである。

 以上のような広報活動の成果としては、入学までに本学への理解が相当進んでいるため、本学の教育に適合できずに或いは学習意欲を喪失して退学する者が毎年1.5%程度に留まっていること、入学直後からそれぞれの目標に向けて授業のほかにも本学が実施しているエクステンションスクールに積極的に参加している者が多いことなど授業を含め学生生活全般にわたり満足度が高いことなどが上げられる。
2)入学者選抜方法
 学生の受け入れに当たっては、「国際社会の発展に貢献することが出来る人材の育成」を教育目標に掲げ「言語への強い興味を持ち、国や地域への多様な関心を有する学生」を募集する活動とともに、入学者の適切な選抜のために受験生の能力・適性の多面的な評価ができるよう選抜方法の多様化、評価尺度の多元化について、常に入学試験委員会において検討を重ねている。近年、学習歴の多様な志願者が徐々に増える傾向にあり、これに対応した入学者選抜方法の充実が急がれるところであるが、アドミッション・オフィス入試等については、未だ検討の段階である。

 現在実施している入学者選抜方法は、推薦入学・試験入学・特別選抜の3種に大別され、全入学生の約3分の1を推薦入学で確保している。
 推薦入学は、指定校推薦・公募推薦、試験入学は、I期・II期・センター利用であり、特別選抜としては、海外帰国生徒のほか、外国人留学生・3年次編入学を実施している。
1. 指定校推薦入学
 選抜方法は、調査書のほか面接(個人)を課している。
 本学が指定した高校に対して、推薦基準を示し、本学で学ぶことを強く望む者のうちから、成績・人物ともに出身高校長が本学入学に適当と認めた所定の人員を優先的に入学させるもので、選考方法は、高校との信頼関係に基づき、学力検査等は免除し、面接のみとしている。推薦基準は、高校毎に過去の入学者の在学成績、受験者の入試成績等を考慮し英語および成績全体の評定平均値を示し、出席状況、課外活動、資格取得状況は高校の判断にゆだねている。なお、指定校推薦入学は、合格した場合は必ず入学することという条件を付加している。
2. 公募推薦入学
 選抜方法は、面接(個人)・適性検査(英語の基礎的理解と英語による一般常識 70分)・適性検査(国語の理解 60分)および調査書としている。
 合格者の入学義務は課していないが、本学が示した推薦基準(成績全体の評定平均値3.5以上または外国語の評定平均値4.0以上)を満たし、本学で学ぶことを強く望む者を募集する。理念は指定校推薦入学と同様である。しかしながら、公募という観点から全国の全ての高校を対象とし志願者数の制限も設けていないため、推薦入学枠を大幅に超過する志願者があり、調査書の学校間格差が現に存在することを認めざるを得ないこと、調査書を主とし面接あるいは小論文で選考することに限界があること等の判断により、適性検査として英語及び国語の基礎的な能力を調べている。適性検査I(英語)は、英語力と国際理解への適性を調べるため、一部記述解答で英語の基礎的な学力検査とともに英語による一般常識すなわち地理歴史に関わる基礎知識あるいは初歩的な計算問題を出題している。この一般常識の出題については、高等学校においては評価がわかれるところであるが、一般入試と異なる視点からの入学者選抜という観点からは有効であると判断しており、今後も継続して行く考えである。なお、リスニングは課していない。また、適性検査II(国語)は、高等学校の教科としての国語の学力を調べるとともに様々な文献・資料の読解が出来るかどうかをも調べる内容となるよう工夫している。出題にあたっては、本学入学後に接する文章の多くが論説・評論となるため、論説・評論文を多く用い、解答はすべて記述としている。こうした適性検査IおよびIIを課すことにより、高等学校における学力の到達度を主に調べるI期等とは異なる観点から、推薦入学に相応しい選抜が行われている。

 公募推薦入学は、入学枠を大きく上回る志願者を得ており、従って、相当多くの志願者を高校長の推薦にもかかわらず不合格と判定しているが、高校からは判定基準の透明性により評価されている。
3. 試験入学I期及びII期
 I期の選抜方法は、3科目(英語200点、国語100点および日本史・世界史・数学から1科目100点)と2科目(英語200点および国語・日本史・世界史・数学から1科目100点)の科目型選択制を導入している。II期は2科目(英語200点および国語100点)を課している。なお、国語は、古文・漢文を除いている。
 過年度の高校卒業生、大検合格者等多様な受験生が志願するため調査書は判定資料とはせず、学力検査のみにより判定している。I期において、3科目と2科目の科目型選択制を導入しているのは、英語の配点を大きくすることにより英語力のある学生を選抜するとともに、英語のみならず日本および世界の国々や地域に対して理解のある者あるいは英語の習得と数学的センスの相関関係の高いことに鑑み、数学に秀でた能力のある者を選抜するためである、と同時に多様な受験形態を提供することにより志願者の安定的確保も図るものである。合否判定は、各試験日および各試験科目ごとに偏差値を算出し、得点調整し、3科目型と2科目型別々に判定し、公平性を保持している。I期の解答形式は英語に一部記述式を導入し、国語・日本史・世界史・数学は全てマーク式である。II期の国語と英語は一部記述式を採用している。
4. センター利用入試
 高校の履修状況により科目を指定することなく、理科を除く全ての科目を利用し、得点調整することなく素点を合計し合否判定している。合格者数の決定においては、公募推薦および試験入学I期・II期では、所定の入学枠に対して必要な合格者数を決定するという所謂歩留り優先方式を採用しているが、センター利用入試では、合格者数に配慮しつつも合格基準点優先で判定している。

 両学部ともそれぞれ特色ある専門分野を有しているが、外国語の修得を教育の共通根幹としており、特に国際経営学部においては英語の修得に高い関心のある学生を募集したいという考えに基づき、外国語学部と国際経営学部では、同じ入学者選抜方法をとっている。入学定員の配分は、推薦入学が約30%、試験入学が約70%であり、試験入学I期が入学定員の50%を占め募集の中心となっている。しかしながら、今後学生募集の環境は益々厳しさを増すと予測されるので、安定的な学生確保の観点から、推薦入学の比率を徐々に50%に近づけるように検討されている。
 本学公募推薦入学の特徴は、適性検査として英語と国語について試験を実施していることである。推薦入学においては一般入試と変わらない学力検査を実施することのないよう指導のあるところではあるが、推薦入学者と試験入学者との学力格差を生じさせないためにも、また学部の性格上ある程度外国語への適性を確認しておくべきだとの考えに基づき、特に英語については、一般常識を英語で出題、国語はすべで記述解答とするなど、出題内容を一般入試とは異なり推薦入学に相応しいものとなるようよく検討して出題している。その成果として、語学学習に意欲の高い入学者が多いこと、更に、入学後の追跡調査においては、推薦入学者の成績は試験入学者と同等との結論を得ている。
5. 特別選抜
 海外帰国生徒特別選抜については、試験科目としては、英語・日本語による小論文・面接を課しているが、英語については、フランス語学科志願者はフランス語に、中国語学科志願者は中国語に替えることができる。英語の入試問題は、推薦入学等の志願者との英語力の比較対照のため、公募推薦の適性検査I(英語)と同じものを課している。小論文については、語彙・用語・表現・構成等詳細に評価している。判定においては、外国語と小論文を点数化し、面接評価を加えて、所謂歩留りでななく、個々の志願者の入学適不適を判定している。高校の国際教育の進展に鑑み、その受験資格を1年間単身で留学した者等まで拡大し、海外経験豊かな学生を入学させることにより授業のみならず学内における様々な国際交流の活性化を図っている。

 外国人留学生は、「日本留学試験」の日本語の受験を出願用件とし、面接と書類により選抜している。面接では授業を理解できる日本語能力・留学の目的・学習計画および資力等を相当な時間を掛けて確認している。なお、平成16年度募集からは、「日本留学試験」について日本語に加えて総合科目も課すこととしている。

 3年次編入学は、英語・フランス語・中国語から各学科の指定した1科目と小論文(日本語)を課している。
 以上のように本学に相応しい学生を募集するためには、現在の選抜方法はほぼ適切であると考えられるが、課題としては、留学経験あるいは海外生活の経験のある高校生など多様な学習歴を有する者をより多く受け入れられるよう募集の制度および入学後の指導体制の一層の整備が必要である。AO入試については、現在のところ、高等学校におけるAO入試の評価が定まっておらず、むしろ否定的な意見が多いため、未だ実施に至っていない。AO入試は、本学のようにアドミッションズ・ポリシーが明確かつ具体的な場合には、AO入試の有効性は大きいと思われるが、その方法については十分議論を重ねる必要があるとともに、その内容について受験生や高等学校に精確な理解を得る広報方法の策定が欠かせない。また、同時に入試制度に対応する組織の構築とりわけ教職員のAO入試専門官としての資質向上についても平行して解決していくことが急がれる課題である。

 また、もうひとつの課題としては、英語に係る各種の検定試験の入学者選抜試験への導入がある。大学入学以前あるいは大学在学中に取得した資格が、卒業単位として認定される本学において、入試において相当レベルの検定試験合格者については、何らかの対応を工夫するよう具体的に検討していきたい。