自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>>第3章第3節(1)教育・研究指導の内容等

教育研究の内容・方法と条件整備

第3節 大学院

(1)教育・研究指導の内容等

1)教育課程
 本研究科の博士前期課程は、理念・目的の項でのべた如く「現代世界をコミュにケーションの観点から総合的に捉えて国際的に活躍できる能力の涵養」という本研究科の目的に沿って、外国語学部と国際経営学部の両者に共通の課程として開設され、学部段階の学習を考慮して、そのカリキュラムは、英語、フランス語、中国語、日本語を中心に国際関係、国際ビジネス、言語情報と広範に跨っている。そのため、履修が散漫になることを防ぎ専攻分野及び進路先をより明確にすることを意図して、専攻に以下の7コースを設置している。
2)博士前期課程(修士課程)
1. 英語コミュニケーションコース
 世界共通語としての英語の重要性は一層増してきた。英語を駆使して国際的に活躍できる人材の養成とあわせて、将来の初等教育における英語教育を担う質の高い人材の養成や上級教員を目指す現職教員の再教育を行う。
2. 日本語コミュニケーションコース
 海外での日本語学習者に対する教育者の需要が増してきたばかりでなく、国内での外国人留学生、外国人労働者及びその子弟、帰国子女等日本語を母国語としない者に対する日本語教育が急務となってきた。本コースは日本語を世界の言語の一つとして位置づけ、日本語・日本文化に関する教育を担う専門家の養成を行う。
3. フランス語コミュニケーションコース
 EUの統合以来国際語としてのフランス語の重要性が再認識され始めた。本コースは、長らくヨーロッパをはじめ、世界文化の中心を成してきたフランス語、フランス文化を総合的な視点から専門的に研究するとともに、その基幹となるフランス語を学術的な面から究めフランス語教育への応用研究を目指す。最新の教授法として注目される電子耳装置による聴覚からのフランス語習得法の研究も行う。
前期課程修了後は、フランス語関係の外交官、通訳・翻訳家、実務家を養成する。
4. 中国語コミュニケーションコース
 中国経済は現在、質量ともに大きく発展しており、国際政治の場でも中国の存在感が増大しつつある。こうした中で日本と中国の関係も一層緊密化し、日本企業の中国進出、日中合弁事業の展開など経済の分野を中心に交流が深まっている。
本コースでは、将来中国と関係する職業に携わる人のために学部で培った中国語の基礎学力を更に伸ばして翻訳や通訳などが可能になることを目指し、また現代中国の経済や政治などに対する認識を深める。なお古典、言語や文学、思想など中国文化全般を研究する道も開かれている。
5. 国際関係コース
 国際関係研究を中心に履修する学生を対象に、外国語習得に重点が置かれた学部教育の補完的学習を目的として学部教育では達成し得なかった応用学術面での専門知識を深めるため、地域文化、国際問題、世界情勢等の総合的理解と国際関係を専門的に研究する。主として、国際公務員、国連職員、国際ジャーナリスト等を目指すコースである。
6. 国際ビジネスコース
 専攻外国語に加えて国際関係、国際経営、国際情報の科目履修を通じて、企業の海外派遣要員として現地企業等での経営に当たる人材、企業の海外展開・事業戦略の立案推進を担う人材の養成或いは国際的シンクタンクや国際的企業で活躍する人材を養成する。
7. インターネット言語教育コース
 Web上で言語教育を提供できる人材の養成を目指す。インターネット上で情報のやり取りをするネットワーク環境を構築しながら(PCサーバ)、この上で教育或いは一般の情報を提供し、かつそれを維持管理できる人材の養成は、今社会の各方面から求められている。言語とコミュニケーションに携わる本大学院コースでは、その仕組みに言語教材を開発する研究を載せようとしている。

 各コースには、それぞれ専門教育科目を配置し、高度の専門的能力を養うとともに各コースに共通の総合研究科目として、「国際関係」、「世界経済」、「比較文化」、「地域文化」、「比較教育」、「多文化・多言語教育」の科目を配して、広い視野に立つ学識を身につけさせ、更に外国語科目として、英語、フランス語、中国語及び外国人留学生のための日本語の科目を配置している。専門教育科目は、それぞれのコースごとに授業科目が編成されているが、各コースにまたがって履修することも可能である。

 前期課程の標準修業年限は2年で、所定の授業科目を履修し30単位以上を取得し、研究指導を受け修士論文の審査及び試験に合格した者には修士(英語・英語教育、日本語・日本語教育、フランス語・フランス語教育、中国語・中国語教育、国際関係、国際ビジネス又はインターネット言語教育)の学位が授与される。ただし、在学中特に優れた業績を上げた者は1年以上在学しその他の条件を満たせば修了が認められる。
また、研究科が認める場合は、修士論文に代わって特定の課題についての研究成果を提出し審査を受けることができる。

 以上のとおり、本研究科前期課程の教育課程は、「高度な専門的知識とグローバルなコミュにケーション能力を養う」という本大学院の教育目標に十分に沿うようになっている。また、大学院設置基準第3条に定める「広い視野に立って清深な学識を授け専攻分野における研究能力または高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という目的にも適合している。
3)博士後期課程
 博士後期課程では、前期課程の基礎の上に立って「英語・英語教育学」、「日本語・日本語教育学」及び「国際文化」の3分野にわたり専門性の高いカリキュラムと研究指導体制を整備している。授業科目として3分野にわたりそれぞれ特殊講義を配置し、研究指導にあたっては、本研究科の特色である総合性、学際性を損なわないように配慮しつつ、前期課程で培われた幅広い視野と知識を基盤に特定の分野についてさらに深い専門的研究能力を涵養し、それらの知識を実社会で実践できる高度な専門的職業人、教育者或いは研究者の養成を目指している。

 3分野の研究対象は次の通りである。
1. 英語学・英語教育学分野
この分野では、多義語における意味構造分析を研究対象とする語彙論研究、外国語習得過程の実態への接近を試みる言語習得研究、言語文化、造語と方言の諸問題等を考察する社会言語研究等を研究対象とする。
2. 日本語学・日本語教育学分野
日本語の文法構造のうち、動詞研究等の日本語学そのものの研究、或いは日本語と外国語との語彙等の対照研究そしてそれらの研究を通じて標準日本語の創成から言語政策に至るまでの応用実践的研究を研究対象とする。
3. 国際文化分野
英語文化、日本文化、中国文化、フランス文化の幅広い地域文化と地域研究を研究対象とする。
後期課程の標準修業年限は3年で、所定の授業科目を履修して12単位以上を修得し、研究指導を受け博士論文の審査及び試験に合格した者には博士(英語学・英語教育学、日本語学・日本語教育学又は国際文化)の学位が授与される。ただし在学期間中特に優れた業績を上げた者は、1年以上在学しその他の条件が満たせば修了の認定を受けることが出来る。

 学生は、まず入学後1ヶ月以内に指導教授を決める。1年次の間に授業科目として三分野の特殊講義3科目12単位以上を履修し、研究テーマを決めて指導教授の下で研究指導を受ける。2年次及び3年次の2回にわたり夏休み明けに開催される論文中間発表会で論文を発表し、指導教授及び関係教員からの指導を受ける。

 また、それぞれの年度末に「論文経過報告書」を提出し、研究科会議の認定を受けなければならない。更に博士論文提出時までに学会又は研究会において研究発表(報告)を2回以上行わなければならない。(このうち1回は国際学会又は国際研究集会若しくは国内の全国規模の学会又は研究会でなければならない。)これらの条件を満たした後、指導教授の承認を得て課程博士論文を提出することができる。

 申請時期は原則として毎年4月及び9月としている。博士論文が提出された後、直ちに研究科会議において、論文の受理決定及び指導教授を含む3名以上の教員からなる論文審査委員会が組織される。課程博士論文の審査は、「本大学院課程博士審査内規」により6ヶ月間で終了することが決められている。論文審査終了後、研究科会議で審査報告が行われ、合格と判定されれば9月のI期末又は3月の修了式で学位記が授与される。
 以上のとおり、本研究科の後期課程は「特定の分野について深い専門的研究能力を涵養し、それらの知識を実社会で実践できる高度な専門的職業人、教育者及び研究者を養成する」という本大学院の目的に沿うものである。また、同様の趣旨を掲げた大学院設置基準第4条にも適合している。

 以上述べた如く、本研究科前期課程は、外国語学部及び国際経営学部の教育課程を十分に考慮してカリキュラムが組まれている。従って、学部の教育内容と大学院前期課程のそれとは密接に関連しており、両者の関係は適切であると考える。同様に、後期課程の教育内容は、前期課程の基礎の上に設定されており、両者の関係も適切であると考える。
4)単位互換・単位認定等
 本学は、平成15年5月現在40の外国の大学と国際交流協定を締結し、そのうち28大学と学生交流を行っている。学生交流は、学部学生が中心であるが、大学院学生もこれまで若干名を交換留学生として派遣し、外国(中国)からは毎年10数名の留学生を受け入れている。

 本大学院では、外国の大学で修得した単位は、10単位まで本学において修得したものとして研究科会議の議を経て認定することが出来るが、実際には外国の大学院で単位を修得することは言葉のハンディーがあってかなり困難であり、これまで認定された単位は数単位にとどまっている。本学の留学制度は充実しており、留学の意志さえあれば実現可能である。ただし、留学先の言語に習熟していなければならない。大学院学生も学部で培った外国語をさらにブラッシュアップして一人でも多くの学生が留学することを期待したい。

 外国人留学生は、日本語教育センター(留学生別科)又は大学院特別聴講生として受け入れている。修得した単位は、成績を添えて派遣先大学に通知している。
国内の大学とは学生交流協定を締結していない。
5)外国人留学生等への教育上の配慮
 外国人留学生のために外国語科目の一つとして日本語コミュニケーション科目(スピーキング、ライティング、時事日本語)を設けて、日本語運用能力を図っている。
 また、後期課程学生をティーチングアシスタントとして委嘱し、外国人留学生に対する授業の補習、論文作成の助言等に当たせている。
6)研究指導等
 前期課程の学生は指導教員(教授又は助教授)の担当する授業科目を必ず受講しなければならない。これを通じて修士論文の作成指導を受けることになる。

 また、前期課程のカリキュラムでは2年次の論文研究(論文指導)を必須科目として設けて、研究指導の強化を図っている。
 後期課程においても各分野にそれぞれ特殊講義を開設し、3科目12単位以上の修得を課程修了の要件の1つとしている。3科目の1つとして指導教授の科目を履修し、それを通じて研究指導を受ける。

 両課程とも学生は定期的に論文中間発表を課せられ、発表の都度指導教員はもとより、他の教員からも研究指導を受けることになっており、本学の研究指導は適切に行われている。