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講演会「文学は逆転である ボードレールとフローベール、生誕200周年に寄せて」


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 ボードレールとフローベールの生誕200周年を記念して、フランス文学者の野崎歓氏の講演会を開催しました。二人の作品の魅力を、豊富な引用を交えつつ、またそれぞれの人生とも密接にリンクさせながら、たっぷりと語ってもらいました。
 「文学は逆転である」という人を食ったような講演のタイトルには、主に二つの意味が込められています。第一に、ボードレールもフローベールも人生をしくじったが、文学でそれを逆転したという意味、第二に、醜いものを美しいものに、日常を永遠に、逆転させるのが文学であるという意味です。講演を通じて野崎氏がとりわけ強調していたのは、文学作品と作者の人生は深く結びついているということです。従来のフランス文学研究においては、作品と人生は切り離さなければならないという考え方が支配的でした。しかし、その結果として、私たちの読書体験は貧しいものになっていたのではないでしょうか。「文学というのは、血の通った、我々の人生の力となるはずのもの」という野崎氏の言葉が印象的でした。その他にも、訳詩の魅力や日本文学への影響など、話題は多岐にわたりました。
 講演後の質疑応答では、インターネットの時代の文学といったアクチュアルな話題も取り上げられました。最後に、ワールドリベラルアーツセンター副センター長のエリス俊子先生にコメントをいただき、和やかな雰囲気の中で講演会は締め括られました。