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学長メッセージ(教育目標)

外国語大学で語学を学ぶ意味

語学を学ぶことは、ひとを学ぶことにつながります。
名古屋外国語大学は、みなさんにとってチャレンジできる場でありたいと考えています。


学長 水谷 修

学長 水谷 修

皆さんは、外国語大学で学ぶということについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
「外国語の会話力が上達する」「高度な読解力が身につく」などといったことを思い浮かべる人も多いのではないかと思います。
このようなイメージは決して間違いではありません。ただこれは、外国語大学で学ぶことの一部分にすぎないことを知っておいて欲しいのです。
これまでの外国語の学びへのアプローチは、欧米からさまざまなものを学び、受けとめる「受け身型」が中心でした。しかし、政治・経済・文化などさまざまな分野で、グローバルな枠組みが形づくられ、その中で交渉や交流が行われる今日の国際社会においては、「受け身型」の語学教育では十分とは言えなくなってきています。つまり、国際社会の場では、政府や民間レベルを問わず、よりよい関係を築いていくために、受けとめるだけではなく、伝えるべき点は伝え、理解し合うことが強く求められるようになってきました。
ですから、今日「語学を学ぶ」ということは、単に言葉を話すことができるだけでなく、自ら考え、その考えを相手にしっかり主張できる価値観や物の見方を備えていくことが重要になってきているのです。同時に外国語大学にも、言葉を通じて何を学び、自らの考えの基盤としていくのかという課題に応える教育・研究環境が求められています。それは、国内にとどまらず地球規模の観点から、よりよい社会を築き上げていくための構想や、具体的な方法、その実現に向けた行動などを探求していくことであると、私たちは考えています。
大学を目指す皆さんには、将来を見据えて日本社会、国際社会の変化をくみ取り、人類社会に貢献できるような生き方を探して欲しいと思います。これを基準にして大学を選んでいただきたいですし、勉強の仕方も考えて欲しいと思います。


ことばを通して、新しい自分に出会うよろこび

どんな言葉を、どんな目的で学びたいか。それは一人ひとり違うはずです。
また、自分は何が得意で、どんな生き方をすべきか、ということになると、実際に専門的な勉強を始めてみなければわからないものです。
そんな「自らの将来を探る手がかり」の一つに、言葉・語学があります。言葉をナイフとフォーク、あるいはメスとして自分の人生を切り拓いてみる。そうすると、例えば「自分は通訳になりたい」というような「目標」が見つかるでしょう。または「芸術の世界に進みたい」ということになるかも知れません。

言葉は、このようなきっかけを作ってくれる、具体的な手がかりとなるのです。

また、言葉を学ぶことで、その背後に広がるこれまで知らなかった視野を手に入れることができ、今までは見えなかった面が見えてくるようになります。同時に新たな情報も得ることができます。
言葉を学ぶことによって、人間的により大きくなることが期待できます。
さらに、言葉を学ぶことは人間性を磨くことにもつながっていきます。相手を理解し、自分の主張を理解させるには、相手が所属する社会でどのような立場にあり、どのような思いをしているのかを理解しておく必要があります。

語学教育には、他者への関心・思いやり、他者の痛みを知るといった、人間教育が含まれるのです。


基礎を固めながら、それぞれの夢をめざす教育システム

名古屋外国語大学では、これからの外国語大学が担う役割の重要性にいち早く着目し、新しい時代にふさわしい教育体制を整えています。まず、学部を問わず、英語力を身につけられるカリキュラムが組まれています。さらに英語を何の目的で使うのかという課題に取り組んだ結果、ビジネスの分野で活用できる英語にターゲットを絞り込んだ「現代国際学部」を2004年度に新設しました。同学部のカリキュラム・教育システムは、文部科学省の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」の認定を受けており、ビジネスの分野で使われる実践的な英語を身につけられます。
 

また、学生の約3/4が、短期的な海外研修も含めて留学を体験します。留学は、生きた言葉を学び、言葉の背景となる文化や社会を肌で経験する貴重な機会です。同時に、多くの海外の人とのコミュニケーションを通じて、さまざまな考えや知識を吸収できるほか、海外から私たちが暮らす社会を、日本を見つめ直すことができます。将来の進路や生き方に対する考え方を広げたり、あるいは明確にする機会となっています。さらに、こうした理想や目標をより高く掲げられるような教育システムと同時に、学生一人ひとりが自分を見つめ直す、「足元を見つめられるような」システムも用意しています。
 

それらの一つに、語学の基礎を身につけるために一年次に必修で行っている日本語の訓練、「基礎ゼミ」「研究基礎トレーニング」があります。外国語を学ぶためには、まず母語をきちんと使いこなす基礎力が、非常に重要になってきます。この授業を通して、自分の使う日本語を意識的に考える習慣を身につけていきます。
 
この訓練を経ることで、「外国語を学ぶことを通じて、自分は何を発信すべきか」が見えてくるはずです。

もちろん外国語の基礎もきちんと足固めしていきます。外国人教員1人に対して学生3人が学ぶ授業「PUT(パワーアップチュートリアル)」では、自分自身の力が自覚でき、着実に続けることによって自信が生まれてきます。この「PUT」は、会話力を身につけると同時に、自分なりのやり方で力を伸ばしていく姿勢を養っていく機会でもあるのです。


「語学が好き」なら、チャレンジして欲しい

私は高校時代に大きなケガをして長期間入院を余儀なくされたことがあります。医師からは後遺症も残る可能性があると言われ、そのときに私は、自らの欠点・弱点と直面せざるを得ませんでした。そこで、自分の可能性を見出すために、一生懸命考え抜きました。そして「負けない」という気持ちを強く持ち、一つひとつのステップを大事にしていきました。
今日まで来られたのも、このときの経験があったからだと思っています。皆さんも、さまざまな長所や得意分野を持つ一方、短所や弱点を持っていると思います。その短所や弱点を覆い隠そうとするのではなく、よく見つめてください。そして「欠点に負けないで頑張る」という気持ちを強く持って欲しいと思います。
 

気持ちが前向きで、できれば人の役に立ちたいという考えを持って、たゆまない努力を積み重ねていけば、短所や弱点は克服でき、道は開けていきます。

能力や学力は獲得していくものであって、先に存在するものではありません。

「英語をやりたい」「フランス語が好きだ」「中国語を話してみたい」という思いがあればそれで十分です。
そこから自分をどう活かすか、伸ばしていけるかを考えながら勉強していくことが重要であり、それを実現するために最適な環境・教育が、ここにあります。ぜひ皆さんも、チャレンジしてみてください。