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10月20日「味の翻訳」を開催しました



2016年10月20日(木)15:00~16:30
フランス語学科主催・WLAC共催講演会
「味の翻訳」を開催しました。

 講演者の関口涼子さん(翻訳家・作家)は『素晴らしきソリボ』(河出書房新社)の翻訳で第二回日本翻訳大賞を受賞したばかりで、普段はパリ在住ですが、2016年はあいちトリエンナーレに参加されるために名古屋にも長期滞在され、写真家のフェリペ・リボンさんと岡崎の古民家を舞台にインスタレーション《vivier》を開催しました。
 彼女は講演会で「味」と「翻訳」の関係を取り上げ、料理を作ることと翻訳をすることは全く異なると思われがちながら、意外にも共通点が多いという考察から話を始められました。また味を感じることは、言葉の意味を感じることと同様に、人の経験に大きく左右されることを指摘し、クミンの味に対して「インド」をイメージする人と、「モロッコ」をイメージする人がいて、同じ食材でも食べる人の過去の経験で異なるものが「意味される」など興味深いエピソードを披露され、その異なる体系をつなぐことこそが翻訳の面白さでもあり難しさでもあると話されました。関口さんは10代で詩人として文学的キャリアをスタートされ、1996年にフランスに活動の拠点を移してからは、翻訳家として文学作品だけでなく『テルマエ・ロマエ』などの漫画作品も仏訳しています。講演会直後にはベイルートが舞台の不思議な美しさを備えたBD(フランスの漫画)『オリエンタル・ピアノ』(ゼイナ・アビラシェド作、河出書房新社)が彼女の訳で出版されるとのことで、フランス語を学ぶ学生だけではなく、他学科の学生、学外からの聴衆も多く詰めかけていました。
(フランス語学科 伊藤達也)