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4月18日 文章教室開催


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4月18日(月)午後3時〜4時半まで、フランス大使館による「フランス語圏週間」のために来日中のチュニジア出身のフランス語作家、ユベール・アダッド(Hubert Haddad)氏が来校し、フランス語学科の3・4年生を対象にアトリエ・デクリチュール(文章教室)を開催しました。

フランス語学科の学生たちとの授業風景

フランス語学科研究室で歓談中のアダッド氏

 内容は、学生達がまずアダッド氏が持参したフランス文学の詩・散文作品から任意の単語を選び、次にアダッド氏が手書きで書いた単語の中から任意にいくつかを選び、それらの言葉の偶然の組み合わせを意味のある文章に鍛え上げて行くというアプローチが取られました。アダッド氏はすでに詩、小説、エッセイ、評論など80冊ほどの著書(邦訳は1冊、他の言語には数多くの翻訳あり)を持つベテラン作家であるとともに、60年代からアトリエ・デクリチュールを始めたフランスでのパイオニアです。子供から大人までを対象に、文章を書く事によって、日常会話の「繰り返し」から一旦距離を置くことを彼は提案します。最後には出来上がった文章を学生一人一人が読み上げました。

 6時半からはアリアンス・フランセーズに会場を移して講演会が行われました。チュニジアからパリに両親に連れられて移民してきた幼少時の話、母語であったアラビア語との断絶、アラブ系ユダヤ人という複雑なアイデンティティ。13歳頃から詩を書き始めたのは、言葉の中へ逃げ込むためだったという告白は胸を打ちました。兄の自殺を契機として書かれた、Palestine(『パレスチナ』)という小説(文庫のゴンクール賞受賞)は、「ヨルダンのロミオとジュリエット」と評され、一刻も早く日本語に訳されて欲しい作品です。彼はテロ以降、不寛容の広がるパリで今年、Apuléeという文学雑誌を創刊し、編集長を務めています。この雑誌のタイトルは北アフリカ出身で2世紀にラテン語で完全な形で現存する初めての小説を書いたアプレイウスに由来します(邦訳『黄金のろば』岩波文庫)。この文芸雑誌にはノーベル賞作家ルクレジオも寄稿しており、フランスだけでなく、アフリカのフランス語圏でも読まれているそうです。