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廣田 元さん



世界とつながる

 毎年、「One Young World Summit」というユース・サミットが開催される。
 これは世界中の国や地域を代表した若者が集まる国際会議である。
 今年、2016年はカナダの首都であるオタワで開催された。名古屋外国語大学、及び日本代表として本会議に参加した経験を少しだけお話ししたい。

1:One Young World Summitとは?

 One Young World Summitは2009年にイギリスで設立された非営利組織によって毎年開催されている。
 このサミットの目的は、世界が直面している問題の革新的な解決策を提案・共有することで、世界と日本の未来に貢献できる人材を強化・育成することである。

One Young World Summit

2:One Young World Summit 2016

 1年間のアメリカ留学から帰国し、One Young World Summitへの参加が決定した。アメリカで大統領選挙が注目を帯びていたこと、難民に関する授業を履修していたことも影響し、今年のサミットには、難民問題というキーワードを持って参加することにした。
 日本出国前、一番楽しみにしていたことは、「カウンセラー」と呼ばれる、著名人の講演やオタワで活動するNGOが主催するワークショップへの参加であった。実際、カナダの首相、ジャスティン・トルドー氏のスピーチからカナダの多文化主義の理念を学び、元国際連合事務総長、コフィ・アナン氏のスピーチから行動することの重要性を学んだ。また、オタワの郊外の中学校を使用して行ったワークショップでは、スポーツを通じた平和教育を行なっている団体と交流した。
 もちろん、これらも貴重な機会となったが、それ以上に同じ年代の魅力的な若者たちと交流できたことが印象に残っている。
 素晴らしい出会いの中でも一番印象に残った出会いは、今年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された夏季オリンピックに出場したある陸上選手との出会いだ。
 多くの人にこの話をすると、「どこの国の代表選手?」と聞かれる。この質問に答えることは、とても難しい。なぜならば、彼は「難民選手団」の選手なのだ。生まれは南スーダン共和国、しかし現在はケニアの難民キャンプで生活しているジェームス。中東・アフリカを中心とした地域で大量に発生している難民がどのような環境に置かれているか、を自分の経験を踏まえて話をしてくれた。
 彼の、自分の故郷に関する記憶がない、という状況は日本人の自分からは想像しにくいものであったが、彼との対話を通して。また、これから難民となった人々が、国際社会に対して、どのような対応を求めているのかといったことを語り合った。
 彼は日本からも難民の状況を心配し、支援をしてくれる人がいることを喜んでくれた。

そして会談の最後、
「世界中で難民が問題となっているが、難民もみんなと同じ人間であることを忘れないで欲しい。」
そう語る彼の目は悲しい現実と同時に、どこか希望にも満ちていたように感じた。

 将来、難民支援に携わることを目標としている自分にとって、彼との出会いはその思いをより強くさせた。
2020年、次回の夏季オリンピック、東京で再会できることを楽しみにしている。

3:今後に向けて

 今後の自分の目標を述べて終わりたいと思う。
 現在、セイブ・イラク・チルドレン名古屋というNPOにおいて通訳として活動している。
 また、国連UNHCR協会でファンド・レイジング活動に従事している。
これらの経験によって、中東との関係を継続し、難民問題への関心を常に持ち続けることができていると思う。

 そして、海外大学院への進学の準備を進めている。大学院では、中東地域研究・難民研究も進めていき、将来は前述の通り、アラブ地域において難民支援の現場で活躍し、難民のいない世界の構築に貢献したいと考えている。

ちなみに、2017年のOne Young World Summitはコロンビアのボゴタで開催される。
自分が経験した以上のことを次の日本代表には経験してもらいたい。