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「世界教養」とは



次世代を担う教養教育とは

日本のグローバル人材育成を牽引される東京外大学長と本学学長のお二人に、「世界教養」を軸にしたこれからの外国語大学のあり方について話し合っていただきました。

東京外国語大学学長 立石博高先生

1951年、神奈川県生まれ。スペイン史学者。専門はスペイン近現代史。
東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業。
2013年4月より東京外国語大学学長を務める。
著作に、『スペイン歴史散歩-多文化多言語社会の明日に向けて』(2004年)、『世界の食文化(14)スペイン』(2007年)。
編著に、『スペイン・ポルトガル史』(2000年)。
共編著に、『カタルーニャを知るための50章』(2013年)、『アンダルシアを知るための53章』(2012年)、『概説 スペイン史』(1987年)など。

名古屋外国語大学学長 亀山郁夫先生

1949年、栃木県生まれ。ロシア文学者、翻訳家、作家。専門はロシア文化とロシア文学。
東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。
2007年9月-13年3月、東京外国語大学学長を歴任。
2013年4月より名古屋外国語大学学長を務める。
著作に、『磔のロシア』(2002年)大佛次郎賞、『謎とき『悪霊』』(2012年)読売文学賞研究・翻訳賞など。
訳著に、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(2006年-07年)、『罪と罰』(2008年-09年)、『悪霊』(2010年-11年)。
『カラマーゾフの兄弟』で毎日出版文化賞特別賞、プーシキン賞。

今、新たに必要とされている「多言語グローバル人材」

立石先生
世界的に資本が展開され、人やものが国境を越えて移動する「グローバライゼーション」の進行が21世紀に入り、加速化しています。それを背景に、英語の使える「グローバル人材」の育成が叫ばれてきましたが、現在はさらに多元的な価値を理解できる「多言語グローバル人材」が必要とされていると感じます。日本の産業はかつてのように国内で作ったものを海外に売るという方式から、現地で生産して売るという方式にシフトしてきました。そうなると、トップマネジメントのレベルでの英語は必要ですが、やはり現場ではその地域の言語でコミュニケーションを取るようになります。そして、そこで生じたグローバルなものとローカルなものの軋轢を解消する人材が必要になったのです。世界の大手メーカーが地域人材の育成に取り組んでいるのもそのためです。

亀山先生
経済界が主導するグローバル人材の育成というのは、すべて英語が念頭にあります。しかし現実には次の世代を想定しなければならないということです。私も同感です。実際、グローバルビジネスの現場では、地域の言語ができなければどうしようもない、という実情があります。それが、「多言語グローバル人材」ということになるわけですね。

立石先生
そうですね。また、2020年に東京オリンピックが開催され、まさに「おもてなし」という言葉に注目が集まっていますが、ホスピタリティとは、自分のコミュニティに来た異なる人をいかに大切に受け入れるか、ということです。つまり、日本の文化が、他国から来た人の文化や宗教と摩擦を起こしてしまったとき、それをどう解消してあげるかというところで真のホスピタリティが発揮されるのです。

亀山先生
外国語を使いこなせるだけでなく、文化や価値観、習慣の違いを学ばせ、同時に、普遍的な価値観としての教養をしっかり身に付けさせることが大切だと思います。全国の外国語大学には、オリンピックという6年半後の新しい目標ができました。オリンピックの場は、単に英語だけが飛び交うのではなく、世界各国の言語が響いている空間です。その媒介者をどれだけ育てられるかというのも、外国語大学の当面の目標の一つとなるかもしれません。

亀山郁夫先生

「世界教養」を身に付け将来の可能性を広げる

立石先生
私たち東京外国語大学では、「多言語グローバル人材」の育成をさらに強化するため、「世界教養プログラム」が全学部共通で導入されています。もともと外国語大学を志望する学生は、自分と異なるものへの関心が強く、貴重な人材です。だからこそ私たちも異なる人や異なる文化に対する多様な関心を広げていける機会を提供しなければと思います。

亀山先生
その通りですね。長い人生では、何が花開くかわかりませんから、大学時代にいろいろな種を蒔いておくことが大切です。就職だけをゴールとせず、長い人生をどう乗り越えて生きて行くか、その知恵をつけるのが、大学における教養教育の基本だと思います。今や、私たちの足元でグローバル化が進行中です。グローバル化は、個人レベルにおいては、まさにどう生きるかという問題を突き付けています。世界がいかに多様性に満ちているか、それを知るところから真の意味でのヒューマニズムは始まります。国際的な舞台でのビジネスでも、足元のボランティアでも、大切なのは、おもてなし、ならぬ、思いやりです。そこから成功が生まれます。
名古屋外国語大学でも、「世界教養プログラム」の理念をもとに、今、新たに「世界教養学科」の設置を構想中です。近い将来、世界の言語と文化の研究で圧倒的な強みを誇る貴学と交流協定を結び、学生たちのさまざまな希望を実現することができれば、幸いです。

立石先生
ぜひよろしくお願いいたします。中部地区で高い評価を得ている名古屋外国語大学の英語教育や就職支援、学生のケアなど、こちらもいろいろ学ばせていただきたいと思います。

(左)亀山郁夫先生 (右)立石博高先生